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<スタッフ>
撮影・監督 : 近藤 剛
プロデューサー : 松本 裕子
山根 幸太郎
脚本 : 藁科 直靖
撮影 : 池田 俊己 横山 友昭
撮影助手 : 原口 信男
録音 : 池田 泰明 |
編集 : 川畑 耕平
オンラインエディター : 池田 聡
ミキサー : 富永 憲一
スタジオエンジニア : 岩手 美波/大谷 侑史
選曲 : 浦上 悦子
語り : 山上 智
技術協力 : 翔の会 NEO P&T |
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<ストーリー>
アール・ブリュットとは「生の芸術」。
そ の 分 野 で 世 界 的 な 評 価 を 受 け る 憲 満 は 自 閉 症 。3 歳 の 頃 か ら 絵 を 描 く と き だ
け は 気 持 ち が 落 ち 着 い た 。 世界の街をモチーフに、絵の中にオリジナルの街を創りあげていく。23 歳になった憲満が今、
いちばん気になっているのは“自立”。親がいなくなったあと、独りで生きていけるのかと不安を抱く。 北朝鮮や刑務所、軍隊に興味をもつ一風変わった青年が、自分の現実に直面していく、ちょっとおかしな日々。
映画を見たら、あなたもきっと憲満を好きになるはず...。
【アール・ブリュット(Art Brut)とは】
正 規 の 美 術 教 育 を 受 け て い な い 人 々 が 独 自 の 発 想 と 方 法 に よ り 制 作 し た 作 品 の
こ と 。
「 ア ー ル ( A r t ) 」 は 「 芸 術 」 、「 ブ リ ュ ッ ト ( B r u t ) 」 は 「 ( 加 工 さ れ て い な い ) 生 の ま ま の 」 を表すフランス語で、画家のジャン・デュビュッフェが 1945 年に提唱した。
障がいの有無に関わらず、多様な作家が存在する。
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<コメント>
あなたはまず絵に圧倒される。そして考える。でも目はスクリーン
から外せない。それほどに被写体が魅力的だ
森達也(映画監督・作家)
彼の止まらない言葉と、思いをぶつけるが如く動き描き続ける絵に、
ただただ引き込まれていた
有森裕子(バルセロナ五輪女子マラソン銀メダリスト)
映画「描きたい、が止まらない」にかける思い
知人の番組ディレクターから初めて聞いた「アール・ブリュット」という言葉。調べていくうちにひとりの作家を掘り下げていく映像を作ってみたくなった。2015年秋、社会福祉法人の担当者から紹介されたのが滋賀県東近江市に住む古久保憲満(こくぼのりみつ)さんだった。幼い頃から自閉症を抱え、対人関係が苦手な彼が唯一心を落ちつけられる場所が、紙の上に描く
“理想の街”。「自閉症を抱える人は話すのが苦手」というイメージをもっていたが、初めて出会った日から憲満さんは饒舌だった。
憲満さんがスイスの老舗の美術館「アール・ブリュット・コレクション」から招待され、初めての海外に行く際に私が同行することになった。彼の最大の関心ごとは、自分が一体どこのホテルに泊まれるかということ。話をしている最中、何度も「すいません、ところでスイスで泊まるホテルのことなんですけど・・・」とそれまでの会話の内容をさえぎるように質問をする。一つのことが気になると、それにずっとこだわり続けてしまうのだ。
海外からも絵が評価され、23歳になった憲満さんにとって今、いちばん気になっているのは自立のこと。いずれ親が亡くなり独りになったとき、果たして自分で生活できるのか不安を抱えている。
この映画は、障がい者アートがテーマではない。ひとりの青年が自立に挑み、ときには感情が揺れたり、勇気をふりしぼったりしながら、新たな一歩をふみ出していく2年半の過程を描いたものだ。映画を観終わったあと、観た人が古久保憲満さんそのものに興味をもち、健常と障がいの間にある垣根が少しでも取り払われてくれればと願っている。
監督:近藤剛
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<プロフィール>
古久保憲満 バイオグラフィー
1995年 滋賀県東近江市生まれ。3歳のころから絵を描き始める。公学校1年の終わりに発達障がい(高機能自閉症)と診断される。2007年 体験入学をきっかけに滋賀県立八日市養護学校中等部に入学。模造紙、カレンダーの裏に絵を描くが、紙が足りないとセロハンテープで継ぎ足していた。2010年 高等部進学。美術の馬場(ばんば)功先生に、大きい紙に描くことを勧められ、縦1.6m×横10mのロール紙と格闘し始める。刑務所、宇宙など気になることはインターネットで徹底的に調べた。
2014年 スイスの美術館「アール・ブリュット・コレクション」のサラ・ロンバルディ館長が来日。滋賀県で憲満に会い絵の寄贈を求める。翌年同美術館に招待され、5点を寄贈した。2016年5月 10mの絵「3つのパノラマパーク」が完成。これまでに描いた絵は約400点にのぼる。
<主な受賞歴>
2010年 「かんでんコラボアート21」最優秀賞
2011年 「第17回全国公募展2011」服部正賞
2012年 「第21回全日本アートサロン絵画大賞展」自由表現部門優秀賞
<主な展覧会>
2011年 「ポコラート全国公募展2011」アーツ千代田3331(東京)
2012年 ヨーロッパ巡回展「Art Brut from Japan」ドルハウス美術館(オランダ)
2015年 「Architectures Collection」アール・ブリュット・コレクション(スイス)
2017年 企画展「古久保憲満の世界」(滋賀県八日市市)
監督 近藤剛
1973年生まれ
児童虐待を未然に防ぐため親たちを救う施設や、在日コリアンが通う朝鮮学校などを密着取材し、弱者に寄り添う視点で番組を作る。近年、東日本大震災の復興のために活動する人々に焦点を当てたドキュメンタリーを制作している。
パオネットワーク所属。
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