‘文化’資源としての<炭(ヤマ)鉱>展  Part−3
特集上映<映像の中の炭鉱>





 予告編@youtube

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ポレポレ東中野では、目黒区美術館にて11月4日から開催する【‘文化’資源としての<炭鉱>展】の関連企画として、展覧会開催期間中に炭鉱が関連する記録映画、劇映画の特集上映を開催します。
 かつて主エネルギー源として日本の発展を支えた石炭産業/炭鉱は、戦後制作された様々な映像作品に登場します。炭鉱会社のPR映画、炭鉱の実体を記録したドキュメンタリーから、青春映画、怪獣映画、文芸映画などさまざまな劇映画まで、炭鉱が登場する映像作品は数百を数えます。
 炭鉱は、PR映画では企業による街づくりの中心として、ドキュメンタリー映画では悲劇や闘争の舞台として、劇映画ではノスタルジーやダイナミズムを象徴するモチーフとして多く登場し、特に劇映画ではストーリーを魅力的に彩っています。
 近年の大ヒット映画『フラガール』や『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』でも炭鉱は重要な舞台となり、本年4月に来訪が解禁された“軍艦島”ではロックミュージシャンB’zがビデオクリップを撮影するなど、今日でも炭鉱が映される作品は続々と制作されています。
 数え切れないほどの作品群の中から、本特集では炭鉱が登場する映画を中心に上映します。【‘文化’資源としての<炭鉱>展】と併せてご鑑賞いただければと思います。
主催 : ポレポレ東中野
共催 : 目黒区美術館
上映作品
監督:亀井文夫
(c)独立プロ名画保存会
女ひとり大地を行く

(1953年/132分/16mm)
監督 : 亀井文夫  脚本 : 新藤兼人、千明茂雄
撮影 : 仲沢半次郎  音楽 : 飯田信夫  
美術 : 江口準次
出演 : 山田五十鈴、宇野重吉、岸旗江、沼崎勳、
      織本順吉、内藤武敏、中村栄二、北林谷栄、
      桜井良子、島田敬一、朝霧鏡子、山田晴生

記録映画の巨匠・亀井文夫による異色劇映画。山田五十鈴の炭婦姿という貴重な映像が見られる。秋田から北海道の炭鉱に出稼ぎに出た夫を追いかけて、子どもを連れて炭鉱町を訪れた妻を待っていたのは、爆発事故で亡くなったという夫の訃報だった。女は炭鉱町で生きていくことになる。
監督:山本薩夫
(c)独立プロ名画保存会
浮草日記 市川馬五郎一座顛末記

(1955年/106分/35mm)
監督 : 山本薩夫  原作 : 真山美保
脚色 : 八住利雄  撮影 : 前田実
音楽 : 大木正夫  美術 : 久保一雄
出演 : 東野英治郎、津島恵子、菅原謙二、
      高橋昌也、松本克平、小沢栄、
      小沢昭一、仲代達矢、花澤徳衛、
      岸輝子、東山千栄子

旅廻りの市川馬五郎一座。興行師の悪だくみによって興行は苦境を極め、次の興行次第では一座の解散を余儀なくされた。訪れた炭鉱町で起死回生の興行を打とうとする一座だったが、炭鉱町はストライキの真っ最中だった。東野英治郎率いる一座は個性派揃いで、炭鉱町の労働組合には小沢昭一らが登場。人情味溢れる驚きのクライマックスへと物語は進む。
にあんちゃん

(1959年/101分/35mm)
監督 : 今村昌平  原作 : 安本末子
脚色 : 池田一朗、今村昌平
撮影 : 姫田真佐久  音楽 : 黛敏郎
美術 : 中村公彦
出演 : 長門裕之、沖村武、松尾嘉代、前田暁子
      北林谷栄、西村晃、小沢昭一、殿山泰司
      浜村純、山岡比佐乃、大滝秀治、
      芦田伸介、吉行和子

佐賀県・鶴ノ鼻炭鉱。一家の大黒柱である炭鉱夫の父親が死んだ。炭鉱はストライキの真っ最中で、長男は炭鉱で働けず、町を出ることになった。長女も町を出て働くことになる。下の兄と妹は二人きりで炭鉱町で生きていかねばならなくなった。ヤマには人懐こい朝鮮人もいれば、気丈な女教師もいる。にあんちゃん(二番目の兄ちゃん)と妹は身を寄せ合って生きていく。
炭鉱(ヤマ) 政策転換の戦い

(1961年/33分/16mm)
演出・脚本 : 徳永瑞夫  
製作 : 坂斎小一郎、高林公毅、川久保勝正
撮影 : 上村隆一  録音 : 大野松雄
音楽 : 長沢勝俊

炭鉱労働組合が企画した短編記録映画。三池争議にはじまり、杵島、新屋敷、日炭高松などが登場する。厳しい労働条件によってヤマを離れる人々、坑内事故、廃坑の溜まり水を飲料水にするほどの貧困…。炭鉱で働き、生活することの苦難が描かれる。これからもヤマで生きていくには組合活動が重要であるというプロバガンダフィルム。
(c)草月会
おとし穴

(1962年/98分/35mm)
監督 : 勅使河原宏  製作 : 大野忠
原作・脚本 : 安部公房
撮影 : 瀬川浩  美術 : 山崎正夫
音楽 : 一柳慧、高橋悠治  
音楽監督 : 武満徹
出演 : 井川比佐志、宮原カズオ、大宮貫一
      田中邦衛、矢野宣、佐々木すみ江、
      松尾茂、観世栄夫、佐藤慶、金内喜久夫

安部公房『煉獄』を原作に、公房自らがシナリオを執筆し、当時は記録映画を主に制作していた天才フィルムメーカー・勅使河原宏によって撮られた傑作。北九州の炭鉱地帯、ボタ山の麓にある泥沼で三つの殺人事件が起きる。炭坑夫、抗夫を盗み撮りする奇妙な白手袋のカメラマン、殺し屋、組合幹部…。多くの人間が交わる不条理劇に武満徹の音楽がからみつく。
(c)1971 東映
日本女侠伝 血斗乱れ花

(1971年/107分/35mm)
監督 : 山下耕作  脚本 : 野上龍雄  
撮影 : 山岸長樹
音楽 : 渡辺岳夫  美術 : 石原昭
出演 : 藤純子、津川雅彦、高倉健、山本麟一、
      水島道太郎、大木実、遠藤辰雄、
      天津敏、加賀邦男、中村錦司、
      鈴木金哉、疋田泰盛、池田幸路、
      小田部通麿、内田朝雄、国一太郎

藤純子による「日本女侠伝」シリーズ四作目。大阪の呉服商・平野ていは婿養子を迎えて健気に店を仕切っていたが、夫の藤吉は石炭に取りつかれ、店の金を持ち出してはひと山当てようと夢を追うような男だった。藤吉を更生させようとするていだったが、藤吉は北九州で炭層を掘り当てた直後、落盤事故で帰らぬ者となる。ていは、命を賭けた夫の志を継ぎ、大阪の店をたたんだ。その日からていの男勝りの生活が始まる。
(c)1982 東映
爆裂都市 BURST CITY

(1982年/116分/35mm)
監督・脚本・音楽監督・編集 : 石井聰亙  
プロデューサー・脚本 : 秋田光彦
撮影 : 笠松則通  
美術 : 泉谷しげる、尾上克郎
出演 : 陣内孝則、大江慎也、町田町蔵、
     コント赤信号、スターリン、戸井十月、
     上田馬之助、泉谷しげる、吉澤健、麿赤児

今もなお熱狂的に支持される石井聰亙の代表作。近未来、狂気の街の廃炭抗地区では下層フリークスたちが地に這いつくばるように働いていた。悪徳ファミリーによって、フリークスたちは原子力発電所建設のための奴隷となる。街にはキチガイ兄弟も来て破怒流地区の“バトル・ロッカーズ”の立場も危うい。街が動きつつある。
はじけ鳳仙花―わが筑豊わが朝鮮

(1984年/48分/16mm→DV-CAM)
監督 : 土本典昭  
製作 : 前田勝弘、重松良周  
原案・絵・詞 : 富山妙子
撮影 : 清水良雄  
音楽・演奏 : 高橋悠治、三宅榛名
ナレーション : 李礼仙

筑豊炭田の風景や労働者の姿を描き続けてきた画家・富山妙子。筑豊では朝鮮半島から連行されてきた朝鮮人が労働を強いられていた。富山は日本人としてその加害性をテーマに版画、油絵を制作してきた。映画は富山による詩、画、劇中劇などを中心に構成され、ジャンルを超えた新鮮な表現となっている。監督は、水俣シリーズで知られ、『ある機関助士』『原発切抜帖』など、実験的な作風にも定評のあった土本典昭。
(c)1995 PARCO


(1994年/92分/35mm)
監督・脚本 : 山崎幹夫  
プロデューサー : 西村隆、山崎陽一
撮影 : 圖書紀芳  美術 : 上野茂郁、佐々木秀明
編集 : 吉田博  音楽 : 勝井祐二
助監督 : 森崎偏陸
出演 : 佐藤浩市、平常、大久保鷹、緒川たまき、
      田口トモロヲ、いづな忍、荒井紀人、大富士

8mmフィルム作品で知られる映像作家・山崎幹夫初の35mm作で、架空の北方の島の少数民族プ族にまつわるファンタジー。テーマパーク建設計画の真っ最中であるプ族の村に、暴れ者のキショウレが世界放浪の旅から帰ってくる。世界中のミュージシャンとの共演などで著名な勝井祐二の多国籍な音楽が物語の世界を彩る。北海道大夕張炭鉱周辺の廃墟で撮られた怪作。
三たびの海峡

(1995年/123分/35mm)
監督 : 神山征二郎  
プロデューサー:石野憲助、岡田裕  
原作 : 箒木蓬生  
脚本 : 加藤正人、神山征二郎
撮影 : 飯村雅彦  美術 : 山崎輝  
音楽 : 佐藤勝
出演 : 三国連太郎、南野陽子、風間杜夫、
      隆大介、永島敏行、岩城滉一、
      李鐘浩、白竜、趙方豪、樹木希林

第二次世界大戦中に朝鮮から強制連行され、北九州の炭鉱で非人間的な待遇で強制的に労働させられた朝鮮人の戦後の復讐の想いを丹念に描いた大長編大河ドラマ。原作は吉川英治文学新人賞を受賞した帚木蓬生の同名小説。オールスターキャストによる、日本映画初の本格的韓国ロケーションを敢行した大作。
(c)小林茂
闇を掘る

(2001年/105分/16mm)
監督 : 藤本幸久  撮影 : 小林茂
音楽 : あがた森魚
編集 : 藤本幸久、田代陽子、小林茂
録音 : 久保田幸雄
ナレーション : 小林三四郎

かつて北海道には150を数える炭鉱があった。閉山後、事故で亡くなった仲間の墓標を立て、坑口に通う元炭鉱夫。夕張で働き、今でも家族ぐるみで付きあうヤマ育ちの若い家族。じん肺に苦しむ元掘進係。石炭を絵具に使って、炭鉱の世界を描く元炭鉱夫。多くの炭鉱が消え、たくさんの人たちが炭鉱を離れていったが、今でも彼らの中に炭鉱は生き続けている。『Marines Go Home』『アメリカばんざい』などで知られる社会派ドキュメンタリスト・藤本幸久の作品。
山本作兵衛画文『筑豊炭坑絵巻』より
炭鉱(ヤマ)に生きる

(2004年/70分/35mm)
監督 : 萩原吉弘  
製作総指揮・撮影 : 住田望
企画 : 田中直樹、小松原時夫
音楽 : 埜邑紀見男  
美術 : 関根章敦  音響効果 : 小野弘典
ナレーション : 窪田等、小沢昭一

元炭鉱夫・山本作兵衛の炭坑画をベースに、明治から大正、昭和に至る炭鉱の人々の生活を描いた作品。山本作兵衛の絵画を三次元の世界に設置する映画的な画面は、炭鉱=暗いというイメージを覆す新鮮な映画世界となる。小沢昭一の軽快なナレーションも相まって、暗くなりがちな炭鉱ドキュメンタリーの中でも突出した作品。
三池 終わらない炭鉱(やま)の物語

(2005年/103分/DV-CAM)
監督 : 熊谷博子  撮影 : 大津幸四郎  
編集 : 大橋富代
音楽 : 本田成子  整音 : 久保田幸雄
ナレーション : 中里雅子

「負の遺産」と呼ばれる三池炭鉱の廃坑跡。囚人労働、強制連行、労働争議、炭鉱事故…しかし、そこで必死に生きた人たちがいる。最盛期は全国の石炭の四分の一を掘り出していたと云われる日本最大規模の三池炭鉱で、過酷な労働を引き受けてきた男女の証言を聞き続け、7年がかりで完成したドキュメンタリー。単館公開ながら数ヶ月で一万人を超える動員を記録した大ヒット作。
荒木栄の歌が聞こえる

(2009年/95分/DV-CAM)
監督・構成 : 港健二郎  
プロデューサー : 藤田祐司
撮影 : 藤田祐司、山崎暁一朗  
編集 : 原田圭輔
リポーター : hizuki

1960年の三井三池争議の中で、彗星のように現われ数々の歌を残した荒木栄は、争議終結2年後の1962年、38歳の若さでこの世を去った。労働歌作曲家・荒木栄の作った「がんばろう」「地底の歌」「星よおまえは」「五月のうた」などは今もなお愛唱歌として親しまれている。荒木栄の生涯を追うことで、戦後炭鉱史を浮かび上がらせた音楽ドキュメンタリー。

     

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