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<出演>
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<スタッフ>
監督:白石和彌
製作:大日方教史 齋藤寛朗
脚本:高橋 泉・白石和彌
撮影:辻 智彦
照明:大久保礼司 |
録音:浦田和治
美術:今村 力
音楽:安川午朗
製作:KOINOBORI PICTURES
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
cCine Bazar Inc. |
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<INTRODUTION>
知的障害者である兄・実生と二人で暮らす幹生は、性欲処理ができない兄のために、デリヘル嬢のマリンを招き入れる。地下アイドルとして活動しながら風俗で働くマリンには、いつか自分だけのアイランドを購入したいという夢があった。奇妙で穏やかな生活を始めた3人だったが、マリンの取材を続けるドキュメンタリー作家によって、封印された真実が暴かれてしまう。互いを補うように生きてきた3人の絆がもろくも崩れ去ろうとしたとき、はじめて彼らは自分自身と向き合い、各々のやり方で圧倒的な世界と対峙するのだった・・・。
誰もがひとりでしか生きられない。でも誰もひとりでは生きていけない。たとえ個々では無力な存在だとしても、夢と感情を共有できるかけがえのない仲間はきっとどこかにいるはず。そんな普遍的なテーマを真正面から受け止めた新たな傑作が誕生した。社会のシステムからこぼれ落ちながらも逞しく前を向いて歩き続ける女性と、様々な軋轢に押しつぶされそうになりながらも、なんとか自分の足で歩いて行こうとする一組の兄弟。過去でも未来でもない、たった“今”を必死に生き抜く3人が、ささやかな希望を見つけるまでを強烈な迫力で描き切る。
主演の幹生に『ビルと動物園』『ランニング・オン・エンプティ』の小林且弥。兄を思う気持ちと現実との狭間で揺れる青年を見事に体現。刹那に生きるデリヘル嬢・マリンに、演劇界で活躍するものの映画のヒロインは初となる内田慈。その母性さえ感じさせる優しさを湛えた演技は必見。障害を持つ実生に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』のウダタカキ(※菟田高城から改名)。また奥田瑛二がキーポイントとなる男に扮し存在感を見せる。監督は若松孝二や行定勲らの下で演出力を磨き、本作がデビューとなる白石和彌。脚本は白石監督と『ある朝スウプは』『ソラニン』の高橋泉。現代の社会が抱える問題や風俗を浮き彫りにしつつ、幸福な人間関係のあり方を映し出し、観る者に勇気を与えてくれる爽やかなラスト。この独自の世界観が各国でも絶賛され、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2009で<SKIPシティ・アワード>を受賞した他、ロッテルダム、釜山、ドバイなどの国際映画祭に正式出品されて大きな注目を集めた。
本作は新人監督の発掘プロジェクトとして設立された「KOINOBORI PICTURES」の第1回製作作品でもある。
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<ストーリー>
マンション販売の会社に勤める黒崎幹生(小林且弥)は、実績をあげられず常に上司から叱責を受けていた。両親を亡くした幹生は、知的障害者である兄の実生(ウダタカキ)と二人で暮らしはじめる。自分の性欲を処理できない実生のために、ときおりデリヘル嬢を呼ぶ幹生は、秋葉原で地下アイドルとして活動しながら風俗で働くマリン(内田慈)に出会う。自身の部屋さえ持たずに貯金するマリンには、いつか自分だけのアイランドを購入したいという夢があった。
地下アイドルの取材を続けるドキュメンタリー演出家の酒井は、マリンが実はデリヘル嬢であることをつきとめる。そして彼女が奇妙な関係を続けている実生が10年前、幼女に性的暴行を加えた過去も調べあげた。撮影のために酒井は、その被害者の父親(奥田瑛二)と実生の再会をセッティングした。
拭いきれない過去の罪から逃げてきたことを、幹生は自覚した。マリンとの関係も破綻して、三人はバラバラになってしまう。彼らは、再会することができるのか。夢に見た理想のアイランドは、どこかにあるのだろうか。
そして、それぞれの未来を信じて新たに歩み始めた三人に、ささやかな奇跡が訪れる…。 |
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<コメント>
よちよち歩きの子供がやっと一人歩きできるようになった。親父の志しを受け継いだ作品だ。
―― 若松孝二(映画監督『キャタピラー』『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』)
どうにもならない世界から紡ぎだされる強い気持ち。こういう映画が観たかった。
しかも俺がずっと注目していた女優、内田滋をこれ以上ないくらい魅力的に描いた白石に拍手を送りたい。
―― 行定勲(映画監督『パレード』『今度は愛妻家』)
これは虚像の大きな黒山を、底辺から一生懸命切り崩していく、パワー溢れるインディペンデント映画だ。
―― 安藤モモ子(映画監督『カケラ』)
ウソみたいに過酷な社会に耐える男、ウソみたいなファンタジーに逃げる女。作りごとだなぁ、と思いながら見ていたら、いつのまにか彼らと一緒に閉塞的な部屋を飛び出し、走り出してしまっていた。
―― 藤岡朝子(山形国際ドキュメンタリー映画際/ディレクター) |
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<プロフィール>
共同脚本・監督:白石和彌 (しらいし・かずや)
1974年北海道生まれ。1995年、中村幻児監督主催の映像塾に参加。 以後、若松孝二監督に師事し、フリーの演出部として行定勲、犬童一心監督などの様々な作品に参加。2007年、鈴木亜美ショートムービー「join」、PV「O.K.FunkyGod」で初監督。 2008年、魔法のiらんどTV「呪われた学校」を演出。今回の「Lost paradise in Tokyo」が長編デビュー作となる。
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★監督コメント
この作品は、今の日本の社会の中で、どこにも逃れることができない若者たちが小さな希望を見つける物語です。究極のことを言うと、人は相手のことを100%理解するのは不可能なのだと思います。それはたとえ血を分けた兄弟でも、永遠の愛を誓い合う恋人同士であっても。しかし、相手を理解できないことを理解するところから始めれば、きっと人と人の距離は少しずつ縮まり、いつか繋がっていく。そんな切なる想いをこめて作りました。この映画を見た方に、少しでもその想いが届くことを願っています。 |
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