壁の中の秘事
1965/74分/35mm→16mm/モノクロ/シネスコ
製作・若松プロダクション / 企画、制作・若松孝二
脚本・大谷義明(曽根義忠(中生)、吉沢京夫)
撮影・伊藤英男 / 音楽・西山登
出演・藤野博子、吉沢京夫、安川洋一、寺島幹夫
予備校生の青年が、団地という閉塞した空間で狂気を帯び始め、家族や原爆の後遺症を持つ昔の恋人と密会を重ねる向かいの人妻に怒りを爆発させていく。
ベルリン国際映画祭への正式出品によって、日本映画業界から国辱映画呼ばわりされたことはあまりに有名。 |
胎児が密猟する時
1966/72分/35mm/モノクロ/シネスコ
製作・若松プロダクション
企画、制作・若松孝二 / 脚本・大谷義明(足立正生)
撮影・伊藤英男 / 音楽、ナレーション・大谷義明
出演・山谷初男、志魔みはる
ある男がある女を監禁し調教しようとするが、最後には復讐を遂げられ、無惨に殺害されていく。ひとつの部屋、ひとりの男、ひとりの女、ひとつの寝台で繰り広げられるサドマゾ的な観念世界を突き詰めた足立脚本によって、類い稀なる密室映画の大傑作が生み出された。 |
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犯された白衣
1967/57分/35mm/パートカラー/シネスコ
製作・若松プロダクション / 企画、制作・若松孝二
脚本・若松孝二(足立正生,唐十郎,山下治,若松孝二)
撮影・伊藤英男 / 音楽・高村光二
出演・唐十郎、林美樹、小柳冷子、木戸協萬子
海辺に佇む美少年は、看護士寮に誘われついて行くが、突然持っていた拳銃を発射し、次々と女性達をなぶり殺しにしていく。密室での唐十郎の即興的な演技をいかすために長廻しを多用し、映画と演劇という異なったジャンル間での越境的な表現の可能性を提示した。
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処女ゲバゲバ
1968/66分/35mm/パートカラー/シネスコ
製作・若松プロダクション / 企画、制作・若松孝二
脚本・出口出(大和屋竺) / 撮影・伊藤英男
音楽・迷宮世界
出演・谷川俊之、芦川絵理、
林美樹、大和屋竺、木俣堯喬
処刑のために連行されてきた男が、ボスの奇妙な死の儀式に従う振りをしながら、逆に一味を皆殺しにしていく。御殿場の荒野を密室に見立てるという大和屋脚本の傑作「ガセネタの荒野」のあまりに見事な映画化であり、公開タイトルは大島渚によって命名された。 |
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ゆけゆけニ度目の処女
1969/65分/35mm/パートカラー/シネスコ
製作・若松プロダクション / 企画、制作・若松孝二
脚本・出口出(足立正生、小水一男) / 詩・中村義則
撮影・伊藤英男 / 音楽・迷宮世界
出演・小桜ミミ、オバケ、秋山未痴汚(道男)
マンションの屋上で輪姦された少女に、住民の少年が好意を寄せ、フーテン達を皆殺しにしたのち、夜明けに自らの身を投げ出す。都市の屋上という開かれた空間を逆説的に密室と捉えた新たなる実験的アプローチは、のちに展開されていく「風景論」の到来を予告した。 |
赤軍ーPFLP・世界戦争宣言
1971/71分/16mm/カラー/スタンダード
製作・若松プロダクション
共同編集・赤軍(共産主義者同盟赤軍派)、
PFLP(パレスチナ解放人民戦線)
カンヌ映画祭への帰途でベイルートへ向かった若松と足立が、PFLP、赤軍と共闘し、パレスチナゲリラの「日常」を写した世界革命のためのニュースフィルム=プロパガンダ。日本における運動映画の金字塔と呼ばれ、赤バス上映隊による全国上映などが展開されている。
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略称・連続射殺魔
1969/86分/35mm→16mm/カラー/スタンダード
製作・足立正生、岩淵進、野々村政行、
山崎裕、松田政男、佐々木守
音楽監修・相倉久人 / 演奏・富樫雅彦、高木元輝
ナレーション・足立正生
不在の主人公・永山則夫が見たであろう風景をのみ写し続けた映画史上に残る異色のドキュメンタリー。この作品から生み出された「風景論」は、のちに多くの論争を巻き起こすこととなるが、若松の『17歳の風景』は、現在におけるそれらへの応答であると言えよう。 |
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