“ねむの木の詩”映画フェスティバル

ねむの木学園創立45周年記念
宮城まり子監督作品 ドキュメンタリー映画の金字塔
約40年ぶりに、デジタル・リマスター版を公開!
この底知れぬ愛に惜しみない拍手! 世界の賞をさらった感動の名作!

ヴァルナ国際赤十字映画祭スペシャルグランプリ他、各種映画祭受賞


上映タイムテーブル(チラシダウンロード/PDF)


 女優・宮城まり子が1968年(昭和43年)に設立した日本初の肢体不自由児養護施設「ねむの木学園」。
以来、女優・歌手としての華々しい活動のすべてを捨てて、その存続と子どもたちのために歩み続けて45年が経つ。今回、デジタル・リマスター版でよみがえったフィルム4部作には、学園での日常の生活が色あざやかに映し出されるとともに、子どもたちの成長する姿が見事に刻み込まれていることに気付く。

 例えば、第一作『ねむの木の詩』(74年)に登場する「としみつ」。二作目『ねむの木の詩がきこえる』(77年)ではやさしいお兄ちゃんとして、三作目『虹をかける子どもたち』(80年)では素晴らしい絵の表現者として登場し、四作目『ハローキッズ! がんばれ子どもたち』(86年)では、ハーレムの子どもたちとともにダンスも披露している。もちろん、よく観れば、他の子どもたちの成長の様子も見つけ出すことができるだろう。

 そして今回、2013年2月に行われた宮城まり子とねむの木学園のこどもたちによるコンサートを収録したDVDビデオ作品『ママに捧げる歌』がリリースされ(本映画際でも上映)、さらに成長した「としみつ」の姿を観ることができる。5人の子どもたちによる美しいハーモニー、そのハイライトとなる「ママに捧げる詩(うた)」では、見事なソロの歌声を聴かせ、“お母さん”であるまり子の涙を誘っている・・・。

 「子どもたちが生きていた証拠を何か残してあげたい・・・そう思って、カメラをまわし続けてきました。今でも、秋の運動会はカメラを撮りっぱなし。その子の毎年の身体の記録になると思います」(DVDビデオ作品『ママに捧げる歌』[2013年]より)
 宮城まり子監督による映画次回作にもぜひ期待したい。

 *期間中に行われるスペシャル・コンサートで、
   宮城まり子とねむの木学園の子どもたちによるコーラスを聴くことができます。
     開催日 : 11月2日(土)・11月4日(月祝) 詳細はトップページをご覧ください。

上映作品
『ねむの木の詩』
1974年作品
監督・製作・脚本・音楽 : 宮城まり子
文部省特選、ヴァルナ国際赤十字映画祭銀賞、文化庁優秀映画奨励賞、他

 女優の宮城まり子が主宰している肢体不自由児の養護施設「ねむの木学園」には、47人(当時)の園児が生活を共にして、勉強し、機能回復の訓練を受けています。
 そのほとんどの子供たちは、脳性マヒで親もいないという、幼い体にはあまりにも重たすぎる不幸を背負っています。けれども子供たちは底ぬけに明るい心を持っている。
 そう、もっと強く、そして幸せに生きてほしい。その願いをこめて、宮城まり子が自ら製作・監督し、「ねむの木の詩」はつくられました。

 「記録という固さを感じない。脚色という劇的も感じない。ただあるのは見つめ抱きしめる生きた本物の暖かさ。
  涙があふれて、しかも時に笑ってしまう。“砂丘登り”は絵のように美しく詩のように美しく、
  しかも胸にくいこんでくる痛ましさだった。」
 
  淀川長治(映画チラシより)



『ねむの木の詩がきこえる』
1977年作品
監督・製作・脚本・音楽 : 宮城まり子
ヴァルナ国際赤十字映画祭スペシャルグランプリ、第19回毎日芸術賞、
文化庁優秀映画奨励賞、ブルーリボン賞特別賞、日本映画ペンクラブ賞、
OCICジャパン大賞、第1回中村屋文化サロン賞、他4賞受賞

この底知れぬ愛に惜しみない拍手! 世界の賞をさらった感動の名作!
 「ねむの木の詩がきこえる」は、自閉症・脳性麻痺・言語なしの子どもの姿を通して、教育とは、友情とは、愛とはなにかを問いかけながら、美しい画面で学園の日常生活を綴った映像詩である。
 1977年7月に岩波ホールで公開されるや5ヶ月にわたる大ヒットとなり、1978年夏には東京都内で9週間のアンコール・ロードショーが行われるという異例のロングランとなった。

 「モノ言えぬ生徒に口移しで言葉を何回となく発声させるシーンがあった。これもシーンと言うよりも実景だった。
  口からツバキがとび口からよだれがたれた。あの実景を見たとき涙があふれた。
  みもよもなく打ち込んだ体当たりの教え方に涙があふれた。」
  淀川長治(映画パンフレットより)



『虹をかけるこどもたち』
1980年作品
監督・製作・脚本 : 宮城まり子
音楽 : 佐藤充彦
1981年6月フランスよりシダラック大賞受賞
(映画として、最も絵画的、文学的と評価された国際賞)
イタリアよりアデライデ・リストリー賞受賞
バンクーバー国際映画祭、その他国際映画祭に参加

 ねむの木の子どもたちの絵画300点を中心に展開されるシネエッセイ。子どもたちは見たものを絵に描く。映画は、日常生活、音楽、結婚、勇気などのテーマを、日本の四季をおりこみながら絵とともに映し出してゆく・・・
 子どもたちが描く暗い絵を見て悲しくなった宮城まり子は、学園のカリキュラムに絵画を取り入れた。数年後、子どもたちは驚くべき才能を発揮し始めた。一斉にほとばしるように絵を描き始めたのである。それは奇跡としかいいようのないものであった。“ねむの木絵画展”は、日本縦断展、ニューヨーク展、プルガリアのソフィア市展など、世界各地で大きな感動を巻き起こした。

 ここにあるものは、「まり子さんの自己を捨てた愛が生んだ奇跡」光の結晶というしか今は何も言えません。
 それしか言えず何の論理も言葉もこの絵の前に成り立つことはないのです。
 そして、この作品群をまり子さんが映画化されたのを見た時、改めて、その絵の美しさ、
 生きることの美しさに感動したのです。
 それはみごとに、シネエッセイとして新しい映像の世界をひらかれたことに心からの拍手をおくるのです。
 谷内六郎(画家)(オリジナル・サウンドトラック盤ライナーノーツより抜粋)



『ハローキッズ!』
1986年作品
監督・製作・脚本・音楽 : 宮城まり子
1986年6月26日 N.Y.ハーレムのアポロ劇場にてチャリティー試写会
ヴァルナ国際赤十字映画祭特別功績賞

 1984年、ねむの木の子どもたちは、世界の障害を持つ人々の芸術祭に招かれニューヨークを訪れ、麻薬事件や殺人事件が日常茶飯事として起こるハーレムに住む子どもたちと出会う。ハーレムに住んでいるというだけで盗みの疑いをかけられ、子ども同士でもけんかの果てに殺人が起こる…。そんな中でも子どもたちは何かをしようと努力している。路上でのブレイクダンスもそのひとつだ。
 その後、ハーレムの子どもたちは2週間日本に滞在し、ねむの木の子どもたちと同じカリキュラムで一緒に生活する。肌の色の違う子どもたちとのふれあいや心のやさしさ、日本の自然の美しさ、そしてダンスの特訓等を通じて“がんばれ子どもたち”と呼びかける。これは宮城まり子監督が人間への讃歌を謡いあげた他に類をみないミュージカル・ファンタジーである。

特別出演 : 渡辺貞夫、宇崎竜童、藤舎推峰、瀬戸内寂聴、
         ヒントン・バトル、ジェリー・ホーリンズ、アリックス・パスカル、ルイス・ヘイズ、ジョン・ハモンド

 「ラスト・シーンに近いところで宮城さんが“ねむの木学園”の上級生らしき男子にミュージカルのダンス・リズムを
  くりかえしくりかえし教えるところは彼女が鬼に見えた。足の骨も折れよとばかりのリズムリズムリズムの
  鞭だった。これまでしてまで教えこむ必要があるのであろうかとさえ思わせる。見ていて残酷にさえ見えた
  この実景。しかしここにこそ実はこの映画の製作者・宮城まり子の愛の宗教を見た。」
  淀川長治(映画パンフレットより)



『ママに捧げる歌』
(ビデオ作品)
ねむの木学園のこどもたちによる美しいコーラスを収録したコンサートDVD作品を特別上映。5人のこどもたちのハーモニーを主役にした初めてのステージの模様を中心に、宮城まり子とこどもたちへのインタビュー等、ドキュメンタリー映像を挿入。ねむの木のこどもたちから“お母さん”まり子に贈る感動の歌! ねむの木学園創立45周年記念作品。

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