「大いなる沈黙へ--グランド・シャルトルーズ修道院--」

静けさのなかに 聴こえてくる
ふりそそぐ光の音 ふりしきる雪の音──
2005年/フランス・スイス・ドイツ/カラー/169分/ビスタ/ドルビーデジタル

サンダンス映画祭2006 審査員特別賞受賞
ヨーロッパ映画祭2006 ベストドキュメンタリー賞受賞
ドイツ映画批評家協会賞2006 ベストドキュメンタリー賞受賞
ドイツカメラ賞2006 最優秀賞受賞
バーバリアン映画賞2006 ベストドキュメンタリー賞受賞


公式サイト

<スタッフ>
監督・脚本・撮影・編集 : フィリップ・グレーニング

製作 : A Philip Groning Film Production
原題 : Die Grosse Stille
字幕 : 齋藤敦子

字幕監修 : 佐藤研
         日本聖書協会 www.ooinaru-chinmoku.jp
配給・宣伝 : ミモザフィルムズ 
宣伝協力 : テレザ
         サニー映画宣伝事務所

後援 : ユニフランス・フィルムズ
      Goethe-Institut Tokyo東京ドイツ文化センター
推薦 : カトリック中央協議会広報 
<ストーリー>
グランド・シャルトルーズは
フランスアルプス山脈に建つ伝説的な修道院。
これまで内部が明かされたことはなかった。
1984年に撮影を申請、16年後に扉が開かれる。
差し出された条件は音楽なし、ナレーションなし、照明なし
中に入れるのは監督一人のみ。
そして5年後、完成した本作は大きな反響を巻きおこす。



「大いなる沈黙へ」は構想から21年の歳月を費やして製作され、長らく日本公開が待たれていた異色のドキュメンタリーである。フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトルーズ修道院は、カトリック教会の中でも厳しい戒律で知られるカルトジオ会の男子修道院である。修道士たちは、毎日を祈りに捧げ、一生を清貧のうちに生きる。自給自足、藁のベッドとストーブのある小さな房で毎日を過ごし、小さなブリキの箱が唯一の持ちものだ。会話は日曜の昼食後、散歩の時間にだけ許され、俗世間から完全に隔絶された孤独のなか、何世紀にもわたって変わらない決められた生活を送る──これまで内部が明かされたことはなかった。
ドイツ人監督、フィリップ・グレーニングは1984年に撮影を申し込み、ひたすら返答を待つ。そして16年後のある日、突然、扉が開かれた。彼は修道会との約束に従い、礼拝の聖歌のほかに音楽をつけず、ナレーションもつけず、照明も使わず、ただ一人カメラを携えて6カ月間を修道士とともに暮らした。なにも加えることなく、あるがままを映すことにより、自然光だけで撮影された美しい映像がより深く心にしみいり、未知なる時間、清澄な空気が心も身体も包みこむ。

音がないからこそ、聴こえてくるものがある
言葉がないからこそ、見えてくるものがある

中世からの石造りの聖堂、回廊──。冬から春へ、ゆるやかにめぐる季節、くりかえされる祈りと務め、修道士たちの澄んだまなざし、空のうつろう青の色、雲、ふりしきる雪、火、窓辺の明かり──この世の喧騒からとおく離れ、まったく異なる時間が流れてゆく。この作品は修道院をただ撮影したというよりむしろ、映像が修道院そのものとなったと言える。今日の社会のように、かたちや結果に価値をおくのではなく、内なる精神に意味を求める日々、この沈黙にみちた、深い瞑想のような映画には、進歩、発展、テクノロジーのもとで、道を見失った現代社会に対する痛烈な批判と、今日の物質文明を原点から見直そうとする思いが根底にある。森羅万象、瞬間がこの上なく尊く、観る者はこの2時間49分をとおして、かけがえのない経験をすることだろう。
本作は公開されるやヨーロッパをはじめ各国で大きな反響を呼び、2006年サンダンス国際映画祭で審査員特別賞を受賞した他、多数の映画賞を受賞した。日本では9年の歳月を経て、待望の公開となる。

<コメント>
塵の微片、耕された土くれ、年老いた盲目の僧の白い眉毛に、この上もない美しさを見出す。優雅とは静穏のことではないだろうか。   
 ニューヨーク・タイムズ
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