花の億土へ

光と闇の彼方にひらく一輪の花。
夢と希望が秘められた稀有なる鎮魂映像詩!
2013年/日本/113分/ハイビジョン/16:9

<出演>
石牟礼道子(いしむれ・みちこ)
<スタッフ>
監督・構成・撮影・編集・音楽 : 金大偉(きん・たいい)

ナレーション : 米山実

音楽ゲスト : 大倉正之助
写真提供 : 桑原史成
プロデューサー : 藤原良雄
制作 : 藤原書店




<ストーリー>
文明化する日本社会の中で起きた水俣水銀中毒事件をモチーフに、「近代とは何か」を現代人に突きつけた名著『苦海浄土』。本映像作品は、その作者として知られる石牟礼道子さんに、来るべき世について語っていただいた最後のメッセージである。
この十年われわれは、不知火海の地に住む石牟礼さんを幾度も訪ねた。今パーキンソン病(水俣病の影響か?)に苦悶しつつ日々を送っておられる石牟礼さんから、文学とは何か、詩とは何か、新作能の新たな構想、最後に文明社会のゆくえなどを語っていただいた。その中で石牟礼さんは「祈り」や「犠牲」という、われわれ現代人が失くしてきた言葉を強調された。
映像は、水俣・天草・不知火海はいうまでもなく、60年代の水俣漁村の風景も用い、それに監督・金大偉の独創的な音楽を加えた。
2011.3.11の東日本大震災もこの作品の中で描かれている。水俣や福島で起きた事件について、石牟礼道子はわれわれにいかなる言葉を伝えようとするのか。
<ラストメッセージとして>
「花であるような星であるような。
生命たちの中の生命があかりになって、ほのあかりの中の、遠い遠いところへいく野道が見えている闇です。
そういうのを見たいというのが私の希望です。」
石牟礼道子
 
<プロフィール>

石牟礼道子(いしむれ・みちこ)

1927年、熊本県天草郡に生れる。詩人。作家。
『苦海浄土――わが水俣病』が、文明の病としての水俣病を鎮魂の文学として描き出しとたして絶賛。
73年マグサイサイ賞。86年西日本文化賞。93年『十六夜橋』で紫式部文学賞。01年度朝日賞。『はにかみの国――石牟礼道子全詩集』で02年度芸術選奨文部科学大臣賞。02年から、新作能「不知火」が東京、熊本、水俣で上演され、話題を呼ぶ。藤原書店より刊行されたものとして、『石牟礼道子・詩文コレクション』(全7巻)、初の自伝『葭の渚』、本作品撮影時の語りの全てを収めた単行本『花の億土へ』ほか著書多数。04年4月から刊行された、『石牟礼道子全集・不知火』(全17巻・別巻1)が14年5月に完結。

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