<ストーリー>
2014年11月16日、沖縄県知事選挙。10万票差で仲井眞前知事を破り、「辺野古に新基地はつくらせない」を公約とする翁長知事が誕生した。
しかし、日本政府は、前知事が承認したのだから「粛々とすすめる」と工事を再開する。
県民は、ゲート前に座り込み、道路に寝そべり、車の下に入り込み、工事用資材と車両の搬入を止め始めた。海では、フロートを乗り越え、コンクリートブロックの投入を止めようとした。
県民の民意を反映した直接行動を警察権力で圧倒しようとする安倍政権。ゲート前で、警察は幾人も逮捕する。海では海上保安庁が、カヌーを転覆させ、抗議船を転覆させ、死者を出しかねない暴力を振るう。
県民たちは、しかし、毎日、ゲート前に座り、海に出続けた。名護警察署を取り囲み、抗議し、逮捕された仲間を取り返してきた。暴力を振るい続ける海保を海には出さないと、海保の車両をゲート前で止め続けた。
2015年10月、翁長知事は遂に公有水面の埋め立て承認を取り消す。しかし安倍政権は、工事を中止するどころか、直ちに、国土交通省へ行政不服審査を請求、知事の承認取り消しを執行停止とした。同時に、埋め立て承認取り消しの権限を知事から取り上げようと代執行訴訟を提訴する。
知事の権限をないがしろにし、国が工事を強行するなら、自分たちが工事を止める-県民たちは、キャンプシュワブゲート前に駆けつける。
毎週水曜日、と提起された早朝行動は、500人、700人、1000人と人数を増してゆく。沖縄県警だけでは押さえられないと、安倍政権は警視庁機動隊を導入。県民も、体にペンキを被って座り込む、コンクリートブロックを並べるなど、知恵をしぼって抵抗を続ける。工事用車両がゲートを通れない時間が増えてゆく。県民たちは、米軍車両も止め始める。
2016年3月4日、突然、国は代執行裁判の和解受け入れを発表した。
「新基地建設を阻止するためにあらゆる権限を行使する」という知事の姿勢、弾圧を恐れない県民の日々のたたかいが、国に和解を受け入れさせた。
今、工事は止まっている。しかし、中止されたわけではない。
「和解」で裁判手続きをやり直すことになったが、新たな裁判の判決で沖縄県の手足縛り、工事を再開しようとする国の思惑が見え隠れしている。
それゆえ、現場での抵抗も、止まることなく、続いている。
辺野古・大浦湾、キャンプシュワブゲート前、沖縄県庁の現場に、毎日、24時間体制で張り付き、6台のカメラで撮影を続けた。
圧殺の海 第2章「辺野古」は、翁長知事誕生からの激動の18ヶ月、その抵抗の記録である。
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