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孤高の映画作家・沖島勲の未映画化シナリオ集がまさかの刊行。
この突拍子もない事態を記念して、沖島勲の一周忌にあたる7/2(土)より、デビュー作『ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ』から最新作『WHO IS
THAT MAN!?あの男は誰だ!?』まで監督作全7本を一挙上映!
“俺は近代からズリ落ちてしまった男”と自ら称する沖島監督が映画に賭けた“個”のリアリティは、今の時代を生きる我々に一体どんな驚きをくれるのか!?混迷の21世紀に捧げる全7日間!
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7/2(土)
ゲスト : 足立正生(映画監督、革命運動家) × 小水一男(映画監督) × 福間健二(詩人、映画監督)
『ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ モダン夫婦生活讀本』
(1969/16mm/72min/パートカラー/若松プロダクション)
監督・脚本:沖島勲
撮影:伊東英男 照明:磯貝一 音楽:ホルモン・アート
出演:矢島宏志、加藤町子、香取環、須摩ひとみ、津崎公平
伝説のデビュー作。公開当時、映画青年や批評家を熱狂させたが、真の評価はこれから始まる。
縁談のために集まったブルジョア家庭。上品な笑顔を見せる彼等だが、一皮むくと危なげな性的欲望が渦巻いていた。やがて彼等は本性を表し、仲良く大混乱に及ぶ!?戦後民主主義のシンボル「J&B」を極私的情念でパロディ化してみせた沖島は、一作目から桁外れに大胆不敵な映画監督だった。今回は貴重な16mmでの上映。
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7/3(日)
ゲスト : 七里圭(映画監督) × 細馬宏通(滋賀県立大学教授)
『出張』
(1989/35mm/91min/カラー/URBAN21)
監督・脚本:沖島勲 撮影:大津幸四郎 照明:岩崎豊 美術:大石章二
出演:石橋蓮司、原田芳雄、松尾嘉代、常田富士男、佐藤慶(声)
沖島流“New Black Comedy”に、まさかの豪華俳優陣が出演。
出張に出たサラリーマン。落石事故で足止めを食らうが、ふらりと立ち寄ったスナックで二人の美人ママと関係。いい気分でその地を後にしようとするが、ひょんなことから山中に潜むゲリラに拉致されてしまう!?“コントのように時代をとらえたい”沖島のそんな態度が、荒唐無稽の中にも現代への鋭い批評が見え隠れするストーリーを編み出した。
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7/4(月)
ゲスト : 芦澤明子(撮影監督) × 四宮秀俊(撮影監督) × 石山友美(映画監督)
『したくて、したくて、たまらない、女。』
(1995/35mm/61min/カラー/新東宝映画)
監督・脚本:沖島勲 撮影:芦澤明子 照明:牛場賢二 編集:神谷信武
出演:城野みさ、倉田昇一、葉月螢、小川美那子、江川加絵、黒沢清、室田日出男
ピンク映画の器に沖島エキスを注入。“まんが日本昔ばなし”のような趣も…なんだコレは!?
地方の温泉旅で働く番頭の喜六。その日は亡き妻の命日だった。この世とあの世が繋がれた日、謎の女が出現する。その女に誘惑された男たちは、嘘みたいに“いい目”に会いまくるのだが…温泉旅館の楽しげな雰囲気も漂う中、彼女の正体を追う記者(黒沢清)が唐突に登場すると映画のトーンが転調する。この物語には“背後”があった!?
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7/5(火)
ゲスト : 中原昌也(作家、ミュージシャン) × 高橋洋(映画監督、脚本家)
『YYK論争 永遠の“誤解”』
(1999/35mm/103min/カラー/YYKプロダクション)
監督・脚本:沖島勲 撮影:芦澤明子 照明:牛場賢二 美術:磯見俊裕、吉田悦子
出演:あさいゆきの、松川信、蒲田哲、黒澤正義、外波山文明、室田日出男、中井啓輔
激動の90年代に“永遠のマインドコントロールからの解放”を世に問うた日本映画が存在した。
源義経(Y)、頼朝(Y)、母・常盤御前が一堂に会している。その敵将である平清盛(K)までもが加わり、話がさらにこじれていく…“カット!”この一風変わった時代劇を3日間で撮らなければならない監督は自身の思いを切々と語る。そこに地球の裏側から脱出口を掘り進めてきた自衛隊が出現!?閉じられていく物語に風穴を開け、映画に抜け道を用意する。
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7/6(水)
ゲスト : 坂口恭平(建築家、作家) × 九龍ジョー(ライター、編集者)
『怒る西行 これでいーのかしら。(井の頭)』
(2009/ブルーレイ/97min/YYKプロダクション)
監督・出演:沖島勲 聞き役:石山友美 撮影:四宮秀俊 録音:川井崇満
いつもの散歩道で “創作の源泉”を鮮やかに呼び覚ます。沖島監督の愉快痛快講義録。
玉川上水の久我山から井の頭公園に至る沿道を散歩しながら、風景が変わっていくことに対する想いを静かに語る沖島。その語りは、幼少期の思い出、作家たちが残した数々の作品、更には沿道を吹きぬける風にまで飛翔していく。時空を超えた幻との対話によって、そこにはない現在が、いつもの散歩道に導入される。赤松の木に中世の風が吹く。
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7/7(木)
ゲスト : 安川有果(映画監督) × 松井周(劇団サンプル主宰)
★安川有果監督『WHO IS THAT MAN!?あの男は誰だ!?』メイキング(12min)上映あり。
『WHO IS THAT MAN!?あの男は誰だ!?』
(2013/ブルーレイ/88min/YYKプロダクション)
監督・脚本:沖島勲 撮影:四宮秀俊 音楽:宇波拓 アニメーション制作:新谷尚之
出演:蒲田哲 内木英二 黒澤正義 石塚義高 植松敦巳 外波山文明 中原翔子 ほたる
ボケ倒しの公園映画が震災以降の寓話に反転!?身近な空間に異質なスケールが折り込まれる。
“あっかんべぇー”政権は、夫の性行為が不足した場合、妻が2人目の夫を持つ事を許可した。続く“お前等アホちゃうか”政権は、これを一気に8人まで引き上げた。女の情欲は膨れ上がり、男の立場はゴミ以下に追いやられるのだが…元々4000万円で構想していた近未来映画を、テーマだけ引き継ぐ形で近所の公園で撮っちゃった!?沖島映画の画期的な実践に吃驚仰天。
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7/8(金)
ゲスト : 佐々木敦(批評家・HEADZ主宰) × 宇波拓(音楽家)
『一万年、後・・・・。』
(2007/ブルーレイ/79min/YYKプロダクション)
監督・脚本:沖島勲 撮影:芦澤明子 音楽:宇波拓 照明:石塚誠 美術:黒川通利
出演:阿藤快、田村勇馬、遠藤恵里奈、松川新、洞口依子
一万年後の世界にぶらり途中下車!?見果てぬ領野に我々を連れ去る沖島ワールド炸裂の一本。
ひとりの男が電波の狂いで一万年後の世界に現れた。そこで出会った少年との会話で、いかに世界が変わり果てたかを知る。日本は消滅、アメリカも海上の砂と化し、外には人喰い怪物が行き交う。建前としての現実が脆くも崩れ去る中、次第に男の存在さえも揺るがしてゆく…全てが終わり、光も差し込まない空間にゴンドラの唄が響き渡る頃、空前絶後の劇場体験が暗闇を満たす。 |
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沖島勲
1940年生まれ。日大芸術学部映画学科在学中より足立正生らと『椀』『鎖陰』を製作。
若松孝二や吉田喜重らの助監督を務め、69年『ニュー・ジャック・アンド・ヴェティ』で監督デビュー。
75 年よりテレビアニメ『まんが日本昔ばなし』のメインシナリオライターとして1230本の脚本を担当。
01年より07年まで、熊本の崇城大学で芸術学部教授を務める。
2015年7月2日永眠。74歳。 |
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