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『急にたどりついてしまう』デジタル化と『秋の理由』DVD発売を祝って、福間健二監督全５作品の上映だ！
映画も、世界も、人間も、どうなっていくのかよくわからない。
でも、あきらめない。挑みつづける。
侵入し、通過してゆく。
それがぼくの仕事だ。
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急にたどりついてしまう
Suddenly Arriving
(1995年/90分/BD)
脚本/福間健二 撮影/小西泰正 編集/金子尚樹 制作/サトウトシキ、瀬々敬久
出演/伊藤猛、松井友子、北風太陽、今泉浩一、田中要次、川瀬陽太、原將人
1969年に完成させた40分の中篇『青春伝説序論』から26年たって、ようやく長篇を撮る機会がめぐってきた。さあ、何を撮るか。実のところ、何をやったらいいのか、考えれば考えるほどわからなくなったし、学ぶことの連続だった。反発した面もあるが、瀬々敬久たちのプロの意見に耳をかたむけた。撮影が終わってOKカットをつないでみると４時間半以上あった。それがどう90分になったのか。編集の金子尚樹の力が大きい。主演の伊藤猛とはあまりうまく行かなかった気もしたが、彼が亡くなったあとに見て、そのさびしそうな表情がベストで出ていると思った。
岡山の娘
My Dear Daughter of Okayama
(2008年/92分/BD)
脚本/福間健二 撮影/大西一光 編集/福間雄三 音楽/吉田孝之
出演/西脇裕美、家ノ上美春、石原ユキオ、季羽和喜、入海洋一
『急にたどりついてしまう』からまた13年のブランクがあった。念入りに脚本を作ったが、準備から撮影中までにおこった事件のために変更をよぎなくされた。そのおかげで自由度が増していき、なんでもありの大胆さを、半ば追いつめられながら目ざした。カメラはパナソニックのAG-HVX200で、その長所を大西一光カメラマンが活かしてくれた。Macの編集システム、ファイナルカットでやれることを福間雄三と試行錯誤的に探った結果、音についても画についても映画史のここまでを復習しつつ、デジタル時代の現在から未来を望むことができたと感じている。
わたしたちの夏
Summer for the Living
(2011年/89分/BD)
脚本/福間健二 撮影/鈴木一博 音響/小川武 編集/秦岳志
出演/吉野晶、小原早織、鈴木常吉、千石英世、松本雅恵、川野真樹子、籾木芳仁
電撃速攻で立ち上げた企画。ゴダールの『アワー・ミュージック』への対抗を意識したタイトルで、大枠では「オルフェウス神話」の逆を狙った。日本の夏。それをやるならやってやろうと、原爆と原民喜を引っぱってきた。勤めていた首都大学と住んでいる国立市付近の風景を撮りまくった。低予算作品ではあるが、吉野晶、小原早織、鈴木常吉のメインの三人をスターのように撮りたいと思った。ここから鈴木一博カメラマンとの仕事になり、カメラはキャノンのEOS-5D。編集、秦岳志。音の仕上げは小川武。これ以上望みようがないくらいのスタッフが揃った。
あるいは佐々木ユキ
A Fairy Tale
(2013年/79分/BD)
脚本/福間健二 撮影/鈴木一博 音響/小川武 編集/秦岳志
出演/小原早織、吉野晶、千石英世、文月悠光、川野真樹子、籾木芳仁
若い女性が真ん中にいる映画の決定版を作ろうと思い、主演の小原早織と対話を重ねた。彼女の感じ方とぼくの共感が、複数性をもつ佐々木ユキのいくつかの面を作っている。身近にあるものは何でも使え、ということから、たとえばぼく自身の声を詩の朗読以外でも使ったりした。鈴木一博の提案を採用してすべて三脚を使って撮った。小さなEOS-5Dにかつての35ミリカメラのような重みをもたせたかったのだ。３・11の前に撮影した。モノレールが最後に向かっていく先に３・11以後の「いま」がある。そうなってくれたらいいと願いながら仕上げた。
秋の理由
Autumn
(2016年/88分/BD)
脚本/福間健二・高田亮 撮影/鈴木一博 録音・音響/小川武 編集/秦岳志 音楽/清岡秀哉
出演/伊藤洋三郎、佐野和宏、趣里、寺島しのぶ、安藤朋子、木村文洋、小原早織、吉野晶
脚本家高田亮と考えたプロットでは向田邦子の『あ・うん』を意識していた。編集に入ったあたりからロベール・アンリコの『冒険者たち』のことも思い出した。メインキャストの４人をはじめ、演技陣がそれぞれベストと思える力を発揮してくれた。いい演技ってなんだろう。たとえば、彼女が彼に怒りをぶつける。それが彼への抗議であるとともに自分への抗議にもなり、自分たちの生きる世界への抗議にもなる。そこに映画史の初期からの夢が引きよせられる。そんな演技を求めた。たとえば、趣里の演じるミクがどこかサイレント時代のリリアン・ギッシュを思い出させるというように。
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text 福間健二（敬称略）
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☆『秋の理由』DVD特別先行発売！
定 価 ： 3,800円＋税（特典映像／メイキング・予告篇）
販売元 ： オデッサ・エンタテインメント
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