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<スタッフ>
製作・監督・撮影・編集・配給 : 山田 徹
音楽 : 3日満月
(権頭真由&佐藤公哉 from “表現[Hyogen]”)
整音 : 滝澤修
撮影協力 : 松村敏行
カラーグレーディング : 青木可恋 |
宣伝美術(フライヤー&webサイトメインビジュアル)
: 北野亜弓(calamar)
Web制作 : 歌川達人(Song River Production)
協力 : 相馬双葉漁業協同組合、
相馬双葉漁業協同組合新地地区
株式会社 自由工房
株式会社いちまるよん |
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<ストーリー>
漁師として生きる
漁師として海を守る
福島県相馬郡新地町
福島第一原子力発電所
あの大地震、原発事故で福島の漁師たちの生活は一変した。
舞台は、3.11後の福島県新地町の漁村。東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故の影響で、当初、再生不可能とまで言われた福島の海。その海を生きる漁師たちはこれからどこへ向かうのか……。
津波で消えた漁村、浜をさまよう漁師たち、放射能汚染水が排出された海、漁村の伝統祭事を映しながら、物語は「地下水バイパス計画」(汚染水対策)を巡る交渉シーンへと向かう。
廃炉行程を一刻も早く進めるために、漁業者から計画容認を得たい国と東京電力……。一方、どう考えても容認しないと復興できないことを理解しつつも反対する漁師たち、また賛成する漁師たち。
この映画は、津波と原子力災害によって生じた様々な軋轢や葛藤の中で生きる福島県漁業者たちの合意形成を巡る交渉の記録である。 |
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<コメント>
見終えてすぐに、あの日、浜辺に打ち上げられていた、美しい大漁旗を想った。
震災の日から一か月ほど経って、まず出かけたのは、幼い頃に父と魚釣りに通った相馬や新地の岸辺や港だった。
あらゆるものが根こそぎ奪われ、津波の牙と爪のあとだけが生々しく至るところにあった。
砂に埋まるようにして、錦の旗はあった。私の知っている海辺の風景はもう戻ってこないのではあるまいか。
立ち尽くして震えた…。その瞬間を想い出した。
この映画には、震災後の真実がある。悲しみと怒りと希望とがある。
この監督の人柄なのだろう。ある時には気の荒い、しかし人懐こい漁師さんたちと深い笑顔を交わし合っている姿が、
フィルムから伝わってくる。あるいは眼前の真実に、やはり立ち尽くし震えながら、それでも視線を逸らさずに追う
若々しく誠実な情熱が。
一本の中に時の全てが詰まっている。映画の光と闇の中で、無数のさざなみの音に耳を傾けてほしい。
震災があったから願うのではないのだ。
私たちはみな、いつも波と共に生きているのだ。
「安波祭」という祭りの日、船から掲げられた大漁旗が舞う、美しいシーンに誰しもが心惹かれるだろう。
笑顔で見上げる子どもたちと、それを見守る漁師たち。
この子たちに海を返してあげたい。信じること。祈ること。
旗を跳ねる空からの光。風に吹かれることの瞬きを、今の暮らしの波打ち際でそれぞれに感じてほしい。
和合亮一(詩人)
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<プロフィール>
監督 山田徹(やまだ・とおる)
1983年、東京新宿生まれ。自由学園卒。映画美学校ドキュメンタリー科を経て、2009年から記録映画の製作会社である自由工房に勤務。記録映画作家である羽田澄子監督に師事する。個人活動として国内アートプロジェクトの記録映像に関わりつつ、2011年3月11日の東日本大震災から4年半をかけて映画『新地町の漁師たち』(2016)を完成させる。初監督となる本作で第3回グリーンイメージ国際環境映像祭
でグランプリを受賞する。
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