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<出演>
柳沢茂樹 長尾奈奈 古屋隆太
木村知貴 齋藤徳一 GON 小山雄貴 片方一予 中村卓也 岡村まきすけ
遠藤隼斗 野口雄介 申瑞季 首くくり栲象 藤盛脩斗 塙藍海 石津侑輝 大蔵省 泊帝
瓜生真之助 西山真来 川瀬陽太 坂本容志枝 小宮孝泰 寺十吾
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<スタッフ>
脚本・プロデューサー・監督 : 木村文洋
脚本・プロデューサー : 桑原広考 中植きさら
脚本 : 杉田俊介 兼沢晋
撮影 : 高橋和博
撮影・照明 : 俵謙太
照明 : 吉川慎太郎 蟻正恭子
俗音 : 近藤崇生
録音 : 弥栄裕樹 中川究矢 井手翔平
黄永昌 川口陽一 西垣太郎
編集 : 上田茂
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助監督 : 遠藤晶
監督助手 : 野崎芳史 山守佑典
音楽 : 北村早樹子
チェロ演奏 : 坂本弘道
ギター演奏 : 岡田拓郎
録音・ミックス : 葛西敏彦 Elephantom Studio
翻訳 : 伊月美穂
宣伝美術 : 大橋祐介
宣伝・配給協力 : 岩井秀世
配給・製作:team JUDAS 2017 |
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<ストーリー>
混迷する国。宗教団体で育った、よるべなき子供たち。
それでも“この世界”を確かなものにするための旅はつづく―。
子供の頃、見上げた空の先には何があったのか―
これはわたしたちの希望を紡ぐ「この国」の物語
ある政権与党の政治団体でもあり、大新興宗教団体でもある「種子の会」。
この映画は、そこで育った二人の男と一人の女を巡る、3.11以後のこの国の物語である。宗教の掲げる理想、原発の再稼働に目を瞑る政党。理想と現実の間に揺れ、自らの信念を問い続けながらも団体の中で生きる二人の男、則夫と大和。一方、「種子の会」を離れ、母親となり、独りで子を育てる一人の女、慈。彼らには幼少期より絶対的に信頼を寄せる父親的存在がいた。「ひとは独りで生きていける程は強くない。世界ぜんたいの幸福
を願うときこそ、個であれ―」そう言ったかつての「種子の会」のカリスマは、日本という国を捨てて失踪した。彼が思い描いた未来は果たしてどこにあったのか―。
理想なき社会。そこで各個人がいかに希望をもち、生き続けていくのか。この映画を観る者は、ある特殊な生育環境で育った三人の、それでも誰しもが求める生の実感を追い求める旅を通して、この国の抱える根本的な問題を知ることになるだろう。
原発・宗教・家族―六ケ所村から東京へ。
社会と個の関わりを問い続けてきた木村文洋が描く、3.11以後の日本のすがた
核燃料再処理工場がある青森県六ヶ所村を舞台に、そこに生きる家族の決断を描いた『へばの』('08)。「地下鉄サリン事件」オウム真理教の幹部・平田信と逃亡を助ける女性の実在の話をベースに、ありえたかもしれない束の間の愛のすがたを描いた『愛のゆくえ(仮)』('12)。常に社会と個のあり方と関わりに、鋭く問題を投げかけてきた木村文洋監督による最新長編は、2006年より『へばの』の対として構想にあった、東京に生きる30代の青年たちの物語。原発・宗教・家族を軸に据え、この社会で、いかにして個として生き続けることができるのかを問うた渾身の長編である。
出演は、演劇・映像界で活躍する柳沢茂樹、長尾奈奈、古屋隆太(青年団)、坂本容志枝(zora)、川瀬陽太、小宮孝泰、寺十吾(tsumazuki no ishi)らが参加。脚本から撮影に至るまで独自の方法論で撮られた本作は、原発や宗教という巨大なテーマにも果敢に挑み、昨今の日本映画とは一線を画す驚くべき野心作がここに完成した。
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<コメント>
親と子と信仰。これは、三位一体の関係にある。
そんな関係が成立してしまうのも、
その背景には貧しさがあり、
社会の矛盾があるからである。
社会は冷酷で、その矛盾を弱者に押し付けてくる。
弱者は居場所を失って、新宗教に逃げ場を求める。
その組織は果たして、そうした矛盾から
人を救い出してくれるのだろうか。
それは、映画が提起する重要な課題だ。
島田裕巳(宗教学者)
『息衝く』を観ながら、
おれはこんな小説が書きたかったんだと
全身がざわつき、高ぶり、軽い嫉妬をおぼえていた。
息ができない現代日本の空気感を生々しくとらえながら、
それでも〝まっとうさ〟を希求する本作の純真なたたずまいに、
胸打たれずにはいられない。
木村友祐(小説家)
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