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<スタッフ>
語り : 春風亭昇太
監督 : 橋本真理子
音楽 : 川口カズヒロ(DATSUN320)
撮影 : 杉本真弓
編集 : 大澤裕也
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効果 : 山川英夫
デザイン : 森部道子
配給協力 : 浜松市民映画館
プロデューサー : 永井学
制作・配給 : テレビ静岡
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<ストーリー>
互いの顔を見たことがない姉と弟 、支える家族。
20年目に出した答えとは―。
小長谷唯織さん・イーちゃんは20年前、静岡盲学校で白い杖の使い方や 点字など視覚障がい者として生きる基本を学んでいた。目の見えない世界 は想像を超える発見がある。だが徐々に「なぜ自分だけ違うのか」不思議に 思うようになった。そして保育園とは違い、友達がいない寂しさを実感する。 障がいを持った者同士分かり合えると信じ、イーちゃんは中学から東京の 盲学校へ。だが、そこで経験したのはいじめ。大好きなピアノで気持ちを整理し ようとするが、追いつかなかった。「現実から逃げないでほしい」と厳しく 接する母。ピアニスト、歌手、作家…夢も破れ、何もかも嫌になった。「学校にいても家にいても辛い」 「死にたい」とも考えた。でも、そばにはいつも2歳年下の弟・息吹がいた。 重度の障がいで1人では、食事も歩く事もトイレにも行けない弟。入退院 を繰り返し、手術を何度経験しても前に進む弟。イーちゃんは自分の甘さ に気づき、自殺を踏み止まる。障がい者が生き、働く。壁はいくつも乗り越 えなければならない-しかし、その強さがあれば、幸せは必ずやってくる。
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<監督コメント>
唯織と息吹 この出会いが私を変えました―
障がい者にカメラを向けることが難しかった20年前。 盲学校100周年のニュース取材中、目の前を駆け抜けたのがイーちゃんです。「この子は感性が違う」と直感し、同時に弟が重度の障がい児だと知ります。本当は1回目の番組で終わるはずでした。でも唯織と息吹はこの先どう生きていくのか…心配でした。2人に出会ってドキュメンタリーの醍醐味を知り、大切さを教えられました。そして、病のため、中途障がい者になった父の看病で疲れ果てていた私を、この家族は支えてくれました。
障がい児・医療的ケアが必要な子供たちの教育、障がい者雇用、旧優生保護法。この20年で新たな課題も浮き彫りとなり、何が解決したのか答えに苦しむのが現状です。更に2016年、神奈川県で重度障がい者を狙った殺人事件が発生、許せませんでした。人は年をとれば目も悪くなり、歩くのも億劫になる…誰もが、障がい者になると私は思います。
唯織も息吹も少し早かっただけ。2人が生きやすい社会は私たち自身が生きやすい社会になるはずです。障がいがあろうがなかろうが、誰にも生まれてきた意味がある―この思いを伝えたくて映画にしました。
監督 橋本真理子
〈制作番組 受賞歴〉
2001年「こちら用務員室ー教育現場の忘れ物ー」第10回FNSドキュメンタリー大賞 グランプリ
2007年「章姫ー父が残したイチゴー」第23回農業ジャーナリスト賞 特別賞
2012年「いのちの乳房ー再建に挑んだ女神たちー」第54回科学技術映像祭 文部科学大臣賞
第50回ギャラクシー賞 奨励賞
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