作兵衛さんと日本を掘る

1964年、オリンピックの喧騒を遠くに感じていた労働者の見た風景は、
2020年、変わっているのだろうか?
©2018 オフィス熊谷
2018/日本/111分/DCP/ドキュメンタリー


公式サイト

<出演>
井上冨美 井上忠俊  緒方惠美
菊畑茂久馬 森崎和江 上野朱  
橋上カヤノ  渡辺為雄 
 
<スタッフ>
朗読 : 青木裕子(軽井沢朗読館)

ナレーション : 山川建夫

撮影 : 中島広城、藤江潔

VE・美術 : 奥井義哉
照明 : 佐藤才輔
編集 : 大橋富代
映像技術 : 柳生俊一
音楽 : 黒田京子(作曲・ピアノ)
      喜多直毅(ヴァイオリン)
MA : 小長谷啓太
配給協力 : ポレポレ東中野
宣伝 : リガード
グラフィックデザイン : 小笠原正勝
協力 : 作兵衛(作たん)事務所

撮影協力 :
 田川市石炭・歴史博物館
 嘉麻市教育委員会
 福岡県立大学

企画協力 : RKB毎日放送
助成 : 文化庁文化芸術振興費補助金
製作・配給 : オフィス熊谷
<ストーリー>
炭坑画家・山本作兵衛/「三池 終わらない炭鉱(ヤマ)の物語」熊谷博子監督作品
2011年5月25日、名もない炭坑夫の描いた記録画と日記697点が、日本初のユネスコ世界記憶遺産になった。暗く熱い地の底で、石炭を掘り出し運ぶ男と女。命がけの労働で、この国と私たちの生活を支えた人々の生々しい姿である。
作者の山本作兵衛さん(1892−1984)は、福岡県の筑豊炭田で、幼い頃から働いた生粋の炭坑夫だ。自らが体験した労働や生活を子や孫に伝えたいと、60歳も半ばを過ぎてから絵筆を握った。専門的な絵の教育は一度も受けていない。そして2000枚とも言われる絵を残した。
作兵衛さんが炭鉱の記録画を描き始めたのは、石炭から石油へというエネルギー革命で、国策により炭鉱が次々と消えていくさなかであった。その裏では原子力発電への準備が進んでいた。
作兵衛さんは後の自伝で「底の方は少しも変わらなかった」と記している。その言葉から半世紀。作兵衛さんが見続けた「底」は今も変わらず、私たちの足元に存るのではないか?
作兵衛さんの残した記憶と向き合い、その絵さながらに働いた元おんな坑夫の人生や、作兵衛さんを知る人々の証言を通じ、この国の過去と現在、未来を掘る!ゴットン!




<監督の言葉>
当時の炭鉱の姿ではあるが、私には、そのまま現代に思えた。中に描きこまれた労働、貧困、差別の問題、戦争への記述、共働き坑夫の家事労働に至るまで今と同じだ。特にエネルギー産業の労働構造は、完全に重なって見える。
前回のオリンピックは1964年。首都圏が好景気に沸く一方で、筑豊には失業者があふれていた。作兵衛さんをめぐる人々が語る、今につながる炭鉱の意味。作兵衛さんと、絵の中の名もない人々とともに日本を掘りたい、と切に思った。
熊谷博子 (監督)
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