「アニメラマ2006」 〜親子で見れない手塚アニメ〜
哀しみのベラドンナ/千夜一夜物語/クレオパトラ


手塚治虫と虫プロダクションが世に送り出した
世界初の大人のためのアニメーション

哀しみのベラドンナ(DLPでの上映)
千夜一夜物語(35ミリ・シネスコでの上映)
クレオパトラ(35ミリ・シネスコでの上映)


予告編@youtube


<解説>

早すぎた作品
現在、「アニメーション」は、その娯楽性と芸術性から、もはや日本を代表する文化の一つとなりました。
「アニメーション」がこのような地位を得る今から30年前、アニメ=子供の娯楽作品だった時代、「大人のための作品」という高い志を持って製作されたアニメーションが存在しました。それが、製作総指揮手塚治虫,製作虫プロダクションによる「アニメラマ−3部作−」です。しかし、この試みは、第一作「千夜一夜物語」、第二作「クレオパトラ」こそ大成功を収めたものの、続く第三作「哀しみのベラドンナ」では内容があまりにも過激かつ前衛的などの理由から、当時、正当な評価を得ることもなく、今日まで「幻の作品」として陽の目を見ることはありませんでした。
その後、伝説的なアニメーションとしてファンの間で語り継がれてきた「アニメラマ-3部作-」が、2006年暮れ、映画館のスクリーンに還ってきます。「30年早すぎた作品」と言われた本作品を是非一度体験してみてください。

各界を代表する才人たちが集結!
「アニメラマ」が誕生した1969年〜1973年。それは様々な才能がジャンルを飛び越え、渾然一体となり、独自のオリジナリティが開花した時代でもあります。
「アニメラマ」にも各界を代表する才人たちが集結し、夢のような豪華な顔ぶれとなりました。虫プロの主力演出家にして「宇宙船艦ヤマト」など数々の脚本を手がけた山本暎一を総監督とし、「タッチ」「銀河鉄道の夜」の杉井ギサブローも全作品の作画監督を担当。「哀しみのベラドンナ」には、挿絵画家の深井国、写真家の森山大道、漫画家の林静一、声の出演は長山藍子、仲代達矢などが参加。「千夜一夜」には、キャラクターデザインに「それいけ!アンパンマン」のやなせ・たかし。音楽には電子音楽界の巨匠、富田勲や、伝説のアートロックバンド、ヘルプフル・ソウルのチャーリー・コーセーが参加。声の出演は主人公のアルディンに青島幸男、他にも芥川比呂志や岸田今日子、小池朝雄。また、遠藤周作、大橋巨泉、北杜夫、小松左京、筒井康隆、立川談志といった著名人が特別に「一言出演」をしているのも当時話題になりました。「クレオパトラ」には、キャラクターデザインに「ヒゲとボイン」の小島功。声の出演は中山千夏、ハナ肇、なべおさみなど。さらには「サザエさん」「カムイ外伝」「ハレンチ学園」といった当時の人気キャラクターまでもが友情出演しています。

「千夜一夜物語」
(C)虫プロダクション・(C)手塚プロダクション
「千夜一夜物語」 ものスゴイものを観てしまった。   ――――  嶽本野ばら(作家)





<ストーリー>
バグダットの街にやってきた水売りの青年アルディンは、奴隷市場で売られている美女ミリアムを見初め、大竜巻が街を襲ったどさくさに紛れて彼女を連れ去る。それが彼の波瀾万丈の人生の始まりだった・・・・・。ミリアムの死、40人の盗賊、女護ヶ島、巨人のいる島、魔王の船。そして、国王の座をかけた宝物合戦、ミリアムに似た少女との出逢い。アルディンの冒険は続く!
<解説>
手塚治虫と虫プロダクションが挑んだ「世界初の大人のためのアニメーション」の第1弾です。世界四大奇書のひとつ「千夜一夜物語」(アラビアン・ナイト)を、現代的な解釈と、実写との合成等の最新技術を駆使して映像化したものです。そのかつてない斬新なスタイルは「アニメラマ」と名付けられました。
「千夜一夜」は話題豊富な骨太の娯楽作として仕上がり、1969年の邦画興行成績第5位というヒットを記録した作品です。手塚治虫が手がけた劇場作品の中で、もっともエネルギッシュなフィルムと言えるのではないでしょうか。
キャラクターデザインは、『それいけ!アンパンマン』の作者として知られるやなせ・たかし。バイタリティ溢れる主人公像と、大胆に描かれるエロス(艶めかしい裸の美女達が登場する女護ヶ島のシーンは、手塚自身が原画を描いています)。そして、2時間を越える波瀾万丈の物語。また、題材の面白さと大胆な画面構成が相俟って、今の目で見るとちょっとお洒落な作品です。
声の出演は主人公のアルディンに青島幸男、他にも芥川比呂志、岸田今日子、小池朝雄と実に豪華。遠藤周作、大橋巨泉、北杜夫、小松左京、筒井康隆といった著名人が特別に「一言出演」をしているのも話題のひとつ。
<スタッフ>
総指揮/手塚治虫 
製作/富岡厚司   監督/山本暎一 
構成脚本/手塚治虫、深沢一夫、熊井宏之 
美術/やなせ・たかし  原画/宮本貞雄、中村和子 
背景/伊藤信治  音響/田代敦巳  音楽/冨田勲 
声の出演/青島幸男、芥川比呂志、岸田今日子、伊藤幸子、小池朝雄、加藤治子、三谷昇、高木均、文野朋子、名古屋章、有馬昌彦、渥美国泰、内田稔、新村礼子 
友情出演/安藤孝子、遠藤周作、大橋巨泉、大森実、大宅壮一、木崎国嘉、北杜夫、
    小松左京、佐賀潜、立川談志、筒井康隆、野末陳平、前田武彦、吉行淳之介

「クレオパトラ」
(C)虫プロダクション・(C)手塚プロダクション





<ストーリー>
人間が宇宙に乗り出している21世紀、パサトリネ星の住人達が地球に対して「クレオパトラ計画」を企んでいる事が判明。その計画の真相を探るため、3人の未来人の精神が、クレオパトラが生きていた紀元前50年のエジプトに転送された。当時、エジプトは、ローマ軍の侵略を受けており、醜い女であったクレオパトラは、シーザーを陥落させるために整形手術を受けて、絶世の美女となった。シーザーの死後、次のローマの司令官アントニウスがエジプトを襲い、クレオパトラは彼も虜にする。だが、1人の女としての幸せを望むようになった彼女は……。
<解説>
アニメラマ第2弾は「世界三大美女」の一人、クレオパトラが主人公。当時の新聞広告には、彼女のセクシーさが売りという意味で「とうとう…脱がしてしまいました」のコピーが添えられていました。物語的には史実をベースに、数奇な運命をたどったクレオパトラの半生を描いたものですが、全編に渡って手塚治虫らしいお遊びが次々と繰り出されています。主人公のクレオパトラからして、元々は醜い女であったが整形手術で美女に生まれ変わったというとんでもない設定ですし、何と「サザエさん」「カムイ外伝」「ハレンチ学園」と、当時の人気漫画キャラクターが友情出演!ローマ凱旋シーンではピカソやゴッホといった古今東西の名画が次々と登場し、シーザー暗殺シーンは「忠臣蔵」の松の廊下のパロディです。TV番組「ゲバゲバ90分」で人気を博していたハナ肇が出演しており、当時の流行語の「あっと驚くタメゴロー」を披露するという悪ノリぶり。バラエティショウ仕立ての楽しい作品となっています。
キャラクターデザインは「ヒゲとボイン」等で知られる大人漫画の代表的作家、小島功が担当。 彼の手によるクレオパトラのプロボーションは、実に素晴らしいもので
す。
<スタッフ>
原案構成/手塚治虫 
製作/米山安彦 
監督/手塚治虫、山本暎一  脚本/里吉しげみ 
考証/カセム アリ  キャラクターデザイン/小島功 
作画/中村和子、波多正美、赤堀幹治、上口照人、杉井ギサブロー、島村達雄、古沢日出夫、木下蓮三 美術/伊藤主計  音響/田代敦巳  音楽/冨田勲 
声の出演/中山千夏、ハナ肇、なべおさみ、吉村実子、加藤芳郎、阿部進、柳家つばめ、初井言栄、野沢那智、
塚本信夫、入江洋佑、今井和子
「哀しみのベラドンナ」
(C)虫プロダクション






<ストーリー>
中世フランスのとある村。ジャンとジャンヌの婚礼の日、領主は貢ぎ物の代わりにジャンヌを犯し、家来達に輪姦させた。村は飢饉だったが、悪魔の力を得たジャンヌは紡いだ糸を売って生計を立て、税金を取り立てる役人になる事ができた。だが、戦争の資金が調達できなかったジャンは左手首を切り落とされ、悪魔つきとして村人に追われる事に。ジャンにも見放されたジャンヌは、身も心も悪魔に委ねて、魔女となった。黒死病が村を襲い、人々は倒れていった。ジャンヌは毒草ベラドンナを使い、人々の病を治すのだが……。
<解説>
『千夜一夜物語』『クレオパトラ』に続く大人のためのアニメーションの第3作ですが、スケールの大きな歴史絵巻であった前2作とは、ドラマも映像の作りも大きく異なっており、キャッチフレーズも「アニメラマ」から「アニメロマネスク」に変更さています。中世フランスの農村を舞台に、より強烈なエロティシズムと沈痛なリリシズムで、愛する夫のために悪魔に肉体を売った女性、ジャンヌの哀しき物語を描いています。中でも映画の中盤、ジャンヌが悪魔に身と心を委ねた後の、イメージが洪水のように溢れかえるシークエンスは圧巻。
原作は歴史学者ジュール・ミシュレの「魔女」。監督は「千夜一夜物語」「クレオパトラ」でも手塚治虫と組んだ虫プロの主力演出家、山本暎一。作画監督は、前2作も担当した才人、杉井ギサブロー。また挿絵画家の深井国をフューチャーしたイラストレーションは圧巻。セル画テイストを極力排し、静止画の多様、あるいはイラストを動かすといった実験的な手法から、かつてない実験色のアニメーションに仕上がっています。山本監督の情熱と才能が炸裂したフィルムであり、「作家集団」虫プロダクションの集大成です。
アートアニメーションが脚光を浴びている今だからこそ再評価されるべき作品でしょう。
<スタッフ>
作/渡辺忠美、吉田輝明、本橋誠、小池佳子 
原作/ジュール・ミシュレ 
翻訳/篠田浩一郎(現代思想社「魔女」より) 
監督/山本暎一 
脚本/福田善之、山本暎一 
美術/深井国 
作画監督/杉井ギサブロー 音響監督/田代敦巳 音楽/佐藤允彦 
声の出演/長山藍子、中山千夏、高橋昌也、米倉斉加年、伊藤孝雄、しめぎしがこ、
津坂匡章、山谷初男、新村礼子、林昭夫、山口譲、磯貝陽悟、石橋雅史、折尾吉郎、
伊東満智子、後久博、菊池剣友会、仲代達矢

<関連リンク>

手塚プロ

虫プロ



アニメスタイル

コロンビアミュージックエンターテインメントl



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<料金>
一般1500円  大学・専門生1300円 高校生以下・シニア1000円
    前売1300円  前売三回券3600円
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