「ブルー・ゴールド 狙われた水の真実」


2008/ビデオ/カラー/90分

<スタッフ>
撮影、製作、監督、編集 : サム・ボッゾ

エグゼクティヴ・プロデューサー : マーク・アクバー
                       サイ・リトビノフ
<イントロダクション>
デヴィッド・ボウイが演じた『地球に落ちてきた男』の続編を作ろうと本作の監督サム・ボッゾはプロデューサーのサイ・リトビノフ(『地球におちてきた男』『時計仕掛けのオレンジ』のエクゼクティブ・プロデューサー)と企画を練っていた。その映画は水がなくなった地球を舞台として描かれるSF映画だった。ある日プロデューサーのサイ・リトビノフが資料として持って来た『「水」戦争の世紀』(モード・バーロウ、トニー・クラーク著)を読んだサム・ボッゾ監督は、SF映画を作るよりも今地球で起きている事をすぐにでもドキュメンタリーとして撮らなければという思いにかられた。

「この映画を作らねばならないたったひとつの理由がある。社会的には、環境問題は二酸化炭素の排出と地球温暖化に絞られているように見える。でも、地球が温暖になっても人類は生き延びるだろう。地球温暖化は“どうやって”生きるかの問題だが、水危機は“生きられるかどうか”の問題なのだ。だから、私はこの映画を作った」

海に囲まれ山林が多い日本に住んでいるとピンと来ないかもしれないが、今後の世界の人口増加を考慮すると水資源は足りなくなるのが現状だ。そして、日本の山林の地下水脈は最近外国企業に狙われている事がつい先日報じられていた。そのことからして、20世紀が“石油戦争”の時代だとしたら、21世紀は“水戦争”の時代になると言われている。

『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』では世界で起きている様々な“水戦争”の現状をドキュメントしている。水企業は、開発途上国に水道事業の民営化を迫り、ウォールストリートは、淡水化技術と水の輸出計画に投資の狙いをつけ、腐敗した政治家は、水の利権を自らの利潤や政治的利益のために利用し、人類の財産である水資源を独占しようとする企業はボトル・ウォーター・ビジネスで世界中から利益を上げる構造を作りあげる。そして、“石油戦争”から“水戦争”の時代となった現在、軍の管理による水資源の発掘は、世界規模の“水戦争”の舞台となろうとしている。

またこの映画では、人々が水に対する人権の戦いを、世界規模で追跡していく。市民が清涼飲料水メーカーを訴えたアメリカでの裁判、国連に「水は人権であり公共信託財」である水憲章採択を迫る運動、水道が民営化されたボリビアでの抗議運動などを。
『「水」戦争の世紀』著者モード・バーロウは言う、「これは私たちの革命、私たちの戦争なのです」と。


<スタッフ・プロフィール>
サム・ボッゾ/撮影、製作、監督、編集
1969年生まれ。Art center College of Designを卒業後、サムは国際映画祭で受賞歴を持つ三本のショートフィルムを監督・脚本・編集した。それらはサンダンス・チャンネルやショータイム、トロント国際映画祭とサンダンス映画祭などで上映された。
最新作はコンピュータのハッカーを題材に取材したドキュメンタリーで、ナレーターをケビン・スペイシーが務めた。
マット・デイモンとベン・アフレック発案によるオンライン脚本コンテスト「プロジェクト・グリーンライト」のトップ10ディレクターとして選ばれ、小説家として著書を出版しているほか、自身の製作会社Purple Turtle Filmsからリリースされている数本の長編映画の脚本執筆者でもある。

マーク・アクバー/エグゼクティヴ・プロデューサー
映画、ビデオ、本などの分野で30年近くのキャリアを持つ。 メディアを通じて、原子力が原因の精神障害、また貧困、メディア・コントロール、東ティモール、人権、宗教の自由、米国の覇権や企業の力に対しての、人々の無関心な態度に挑戦し続けている。『チョムスキーとメディア――マニュファクチュアリング・コンセント』と『ザ・コーポレーション』の共同制作者、及び共同監督でもある。

サイ・リトビノフ/エグゼクティヴ・プロデューサー
デヴィッド・ボウィ主演『地球に落ちてきた男』と、『時計仕掛けのオレンジ』のエグゼクティヴ・プロデューサー。映画制作に入る前の12年間、ニューヨークでアンディ・ウォーホルなどの有名人たちを扱う弁護士でもあった。
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