|
<出演>
寺島しのぶ 大西信満
吉澤健 粕谷佳五 増田恵美
河原さぶ
石川真希
飯島大介
安部魔凛碧 |
寺田万里子
柴やすよ
椋田涼
種子 |
折笠尚子
小林三四郎
金子貴明
地曳豪
|
ARATA
小倉一郎
ほか |
|
|
<スタッフ>
製作・監督 若松孝二
プロデューサー:尾崎宗子
脚本:黒沢久子・出口出
ラインプロデューサー:大日方教史
撮影:辻智彦・戸田義久
撮影助手:満若勇咲
照明:大久保礼司
撮影助手:高橋拓・脇坂美緒
音楽プロデューサー:高譲
音楽:サリー久保田・岡田ユミ
演奏:中本文・MITUKO・田中麻衣
|
録音:久保田幸雄
録音助手:宋晋瑞
編集:掛須秀一
編集助手:坂本久美子・石田桃子
美術:野沢博実
助監督:福土織絵・花木英里・小田総一郎・須田大介
衣装:宮本まさ江
衣装助手:小松千乃
VFXスーパーヴァイザー:立石勝
VFXディレクター:西尾和弘
特殊メイク・造形スーパーヴァイザー:中田彰輝
特殊メイク・造形:飯田文江・橋本隆公
メイキング:木全哲
キャスティング協力:小林良二 |
|
1960年代の日米安保反対闘争から72年のあさま山荘での銃撃戦へと至るあの時代、
若者たちの生き様を描いた『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』から2年。
若松孝二は新作『キャタピラー』を完成させた。連合赤軍の若者たちの親の時代、太平洋戦争のさなか、
手足を失って帰還した傷病兵とその妻の物語である。
|
<ストーリー>
1943年、世界各地で戦局が激化して行く中、一人の傷病兵が帰還した。両手足を失い、変わり果てた姿となって。
彼の名前は黒川久蔵(大西信満)。日の丸を背負い、勇ましいバンザイのかけ声とともに戦地へと送り出されたかつての軍人は、激しい戦闘の末、四股を失って妻・シゲ子(寺島しのぶ)の元へ送り返されてきた。首には勲章をぶら下げられ、「軍神」と村中から讃えられるが、しかし、その耳はもう何も聞かず、その口は言葉を失い、ただひたすら、毎日、妻が口に流し込んでくれる粥を食べ、シモの世話を妻の手に委ねていた。
彼のぼんやりとした視線の先にあるのは、かつての武功を讃えた新聞の記事と国からもらった勲章だった。
シゲ子は、「銃後の妻の鑑」として、献身的に久蔵の世話をした。
かつて「石女(うまずめ)が!」と自分をののしり、殴り、蹴り上げた、その声も手も足も失った夫の体を拭き、食事も食べさせた。四股の自由を失った久蔵だが、性欲を失うことはなかった。勃起すればシゲ子を求め、風が吹きぬけてゆく。食べて、寝て、食べて、寝て、食べて、寝て…。
稲穂が頭を垂れる秋、そして冬から春へ。
敗戦が色濃くなっていく中、久蔵の脳裏にフラッシュバックしてきたのは、かつて大陸で犯した女たちの悲鳴、刺し殺した女たちのうつろな目、女たちの体を焼き尽くす炎。
久蔵の中で何かが崩れ始めていく。
そして、久蔵とシゲ子、それぞれに敗戦の日が訪れる……。
全編を貫くのは、若松孝二の叫びである。
「正義のための戦争が、どこにあるのか!」
戦争とは、人間が人間に、犯され、切り刻まれ、焼かれることだ。
忘れるな、これが戦争だ、と。
|
|