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〈スタッフ〉
監督・脚本 : マルセロ・シャプセスプロダ
撮影 : ウンベルト・ヴァレラ
マルセロシャプセスプロダクション=パイオニア映画シネマデスク |
「あの頃世界で一番かっこいいのがゲバラだった」 ジョン・レノン
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<解説>
「チェの思想が実現していたら、世界は違ったものになっていただろう。
戦士は死ぬ。だが、思想は死なない。」
フィデル・カストロは、同志を迎える帰還追悼集会で雄弁に語り、押し寄せる沿道の人々もまた、自分の信念を貫いた革命家の高貴な魂に敬意を捧げた。
キューバ革命―数十人のゲリラから始まった革命軍は、2万人にも及ぶ政府軍との長い戦闘の末、時のバチスタ政権を倒し、貧困に苦しむ人々を抑圧から解放する。その革命軍の中に、アルゼンチン人エルネスト・チェ・ゲバラはいた。“チェ”とは、親愛の情を込めたゲバラの愛称である。
ゲバラは、指揮官として常に勇敢に先陣を切って戦い、カストロも彼の優れた知性と洞察力に裁量を求めた。そんな姿に部下や民衆は忠誠心を強くしていった。奇跡的な革命の成功は、まさにゲバラの存在なくして考えることはできない。
その後、彼は名誉や地位をあっさりと捨て、理想を求め国境を越えた新たな革命へと旅立つ。
「自由を求める人々が、僕のささやかな努力を望むかぎり闘い続ける。永遠の勝利まで。
革命か死か。」−ゲバラがカストロに宛てた別れの手紙の言葉どおり、彼はコンゴ、そしてボリビアで懸命に闘い、ついに銃弾に倒れ夢に散る。
映画は、革命の象徴として偶像化された英雄の生きざまを、膨大な価値ある写真や映像・エピソードを駆使しながら、親しみをもって描いていく。そして、彼の神話を超え、愛すべき人間的な実像を浮き彫りにしたゲバラ讃歌でもある。
中でも、シエラ・マエストラで共に闘った同志や、彼の娘アレイダら深い絆をもつ人々によって綴られるゲリラ戦での劇的な記憶や父親との家庭生活の思い出は、ゲバラの吐息を感じさせ、革命への情熱に染まってゆく瞬間に宿った命が、今ここに、チェの真の姿となって甦る。
魅惑と混沌に包まれたキューバには、今なお、澄んだ目で見つめるベレー帽に髭もじゃの風貌の写真や肖像が街のいたる所に飾られ、子ども達は声を揃えて「チェのようになりたい」と歌う。彼らの英雄に向ける愛と尊敬のまなざしに、チェの遺志が人々の心に永遠に生き続けていることを感じさせる。
命を賭して変革を求め続けたチェ・ゲバラの意思精神は、戦士を讃える歌声となって、今も世界中に鳴り響く…。
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