「中国インディペンデント映画祭2009」


インディペンデント映画にしか撮れない中国がここにある!




 タイムテーブル詳細


多様化する現在の中国を反映するかのように、最近のインディペンデント映画にも様々なタイプのものが出てきています。今回はインディぺンデント映画ながら検閲を通して政府から上映許可を得ている作品や、「80后」と呼ばれる80年代生まれの監督たちの短編集など、多彩なラインナップです。
昨年以上に面白く、楽しく、エキサイティングな9プログラムを通じて、“主流”な中国映画や公的メディアからは知ることのできない中国の今を感じていただけるはずです。 
上映作品
ジャライノール

原題 : 紮賚諾爾/JALAINUR
※日本初上映
2008年/92分/HDV/字幕日本語、中国語、英語

釜山国際映画祭国際批評家賞
シンガポール国際映画祭アジア映画推進連盟賞
上海国際映画祭アジア新人部門監督賞 他

内モンゴル・ジャライノールの炭鉱で蒸気機関車の運転士をしている朱とその弟子の李は、良きパートナーであった。
だが朱は娘夫婦と暮らすため炭鉱を離れることに。それを知った李は、朱が行く町まで見送ることにする。
風景の美しさもさることながら、男たちの表情に監督の力量を感じずにはいられない傑作。

監督 : 趙曄(チャオ・イエ)
1979年北京生まれ。北京電影学院アニメーション学科卒業。デビュー作『馬烏甲』(06)が各国の映画祭で注目される。2作目となる本作はインディぺンデントでありながら上海国際映画祭で賞も獲っている。
牛乳先生

原題 : 一只花[女乃]牛/The Black And White Milk Cow
※日本初上映
2004年/98分/DVCAM/字幕日本語

フリブール国際映画祭文化賞、審査員賞
ニューデリーアジア映画祭NETPAC賞

父を亡くし、高校を退学して田舎に帰ってきたチンションは、村長から小学校の先生に任命される。
だが村は財政難。村長は、給与の代わりにチンションに乳牛を一頭与え、牛乳を売って金にするよう勧める。子供たちの成績は優秀で、牛も元気に乳を出し、とても順調に思えたのだが…。
最近注目を浴びている楊瑾監督のデビュー作。

監督 : 楊瑾(ヤン・ジン)
1982年山西生まれ。00年から山西電影学校で、04年から北京師範大学で映画を学ぶ。
『二冬』(08)が釜山国際映画祭で特別賞を獲り、次作がロカルノ国際映画祭から資金提供を受けるなど、今注目すべき監督の一人である。
グッド・キャット

原題 : 好猫 /GOOD CATS
2008年/103分/DVCAM/字幕日本語、英語

協力:大阪アジアン映画祭アジアンミーティング
ブリスベン国際映画祭国際批評家連盟賞
中国后天双年度電影賞

四川省自貢の不動産会社で社長の運転手をしている羅亮は欲のない男。妻からのプレッシャーもモノともせず、とても気楽に生きている。しかし、そんな彼の暮らしにはたくさんの不安要素があった。
社会風刺を得意とする監督が、黒猫白猫論からタイトルを取った本作で、経済成長の陰にある社会の歪みを浮き彫りにする。

監督 : 応亮(イン・リャン)
1977年上海生まれ。北京師範大学芸術科で映画を学び、その後重慶大学で映画監督を専攻。長編デビュー作『あひるを背負った少年』、続く『アザーハーフ』はともに東京フィルメックスで審査員特別賞を受け、各国の映画祭でも数々の賞を獲得した。
小蛾(シャオオー)の行方

原題 : 血蝉/LITTLE MOTH
2007年/99分/DVCAM/字幕日本語、英語

カイロ国際映画祭デジタル部門金賞
エルサレム国際映画祭自由精神賞
香港国際映画祭デジタル部門銀賞

病気で歩けなくなった11歳の少女シャオオーは、千元である夫婦に売られ、街角で物乞いの商売をさせられる。ある時、やはり物乞いをしている片腕の少年から逃亡をもちかけられる。かくして2人の逃避行が始まるのだが…。
中国の闇を描く社会派ドラマでありながら、スリリングな展開からも目が離せない。

監督 : 彭韜(ポン・タオ)
1974年北京生まれ。北京電影学院文学科卒業。学生時代から短編作品が海外の映画祭で紹介されていた。本作は世界の50を超える国際映画祭で上映され、賞を多数獲得している。
武松の一撃

原題 : 武松打我/Lost In Wusong
 ※日本初上映
2005年/93分/16mm→DVCAM/字幕日本語、中国語

香港国際映画祭国際批評家連盟賞
ブリュッセル・インディペンデント映画祭主演男優賞

水滸伝の豪傑・武松に憧れる門徳松が、念願かなって武松の映画を監督することに。ところが主演俳優は決まらないし、プロデューサーとは揉めるし、女優からは色目を使われ、トラブルも続出。奇跡を待ち続けるこのダメ青年に、明日はあるのか。
主演は『おはよう北京』の余皚磊。

監督 : 陸一同(ルー・イートン)
1963年北京生まれ。86年から多くの映画やドラマの撮影に参加。欧米で芸術家、俳優として活躍した経験も持つ。監督デビューとなった本作は、十数カ国の映画祭に参加した。国家電影局からの上映許可も得ているが未公開である。
新鋭監督短編集
新鋭導演短片集/The New Short Films
※日本初上映

昨年、重慶民間映画交流展で上映された作品群の中から、80后と呼ばれる80年代生まれの監督たちによる短編4本をセレクト。若手の作品から将来の中国インディペンデント映画を探る。

阿Q魚伝(Q魚的下午/F.I.L.L K.I.S.H)
2005年/10分/DV/字幕日本語
監督 : 林哲楽(ゼロ・リン) 

キャンディ(糖果/CANDY)
2007年/16分/DV/字幕日本語
監督  :趙楽(チャオ・ルー)  

息子とゴキブリ(儿子與.螂/Son and Cockroach)
2007年/37分/DV/字幕日本語、中国語
監督  :欧陽杰(オウヤン・ジエ) 

北京へようこそ(北京歓迎./WELCOME TO BEIJIN)
2008年/25分/DV/字幕日本語、中国語
監督 : 盧茜(ルー・シー)
収穫

原題 : 麦收/Wheat Harvest
※日本初上映
2008年/98分/DVCAM/字幕日本語

シネマ・デジタル・ソウルグランプリ
香港華語ドキュメンタリー映画祭銅賞
雲之南記録影像展観客賞 他

ホンミャオは北京の床屋で働く風俗嬢。仲間や男友達に恵まれ、楽しく毎日を過ごしているが、故郷の父は深刻な病気をかかえており、彼女はその治療費を負担していたのだった。社会の底辺と思われがちな人々を、生き生きと魅力的に見せてくれる強くて優しいドキュメンタリー。

監督 : 徐童(シュー・トン)
1965年北京生まれ。スチールカメラマンとして働く傍ら小説を執筆。
映像作品は本作が初めてながら、アジア各地で賞を受賞した。なお、2作目の『算命』もすでに完成しており、今後海外に紹介される予定である。
俺たち中国人

原題 : 我是中國人/I'm Chinese
※日本初上映
2007年/75分/HDV/字幕日本語、中国語

中国独立影像年度展
北京独立電影論壇

ロシアと国境を接する黒竜江省のある村には、第1次大戦中に逃れてきたロシア人の末裔たちが暮らしている。ロシア人の顔をし、中国国歌も満足に歌えない彼らだが、自らのアイデンティティを中国に求めている。そんな村人たちの冬の生活を、ある兄弟を中心に捉えたドキュメンタリー。社会学的な対象としてだけでなく、強烈なキャラクターも魅力的。

監督 : 沈少民(シェン・シャオミン)
1956年黒竜江省生まれ。現代アートの世界では高名で、アメリカやヨーロッパでも数々の個展を開いてきた。本作が初の影像作品。于広義監督の『最後の木こりたち』ではプロデューサーを務めている。
オルグヤ、オルグヤ…

原題 : 敖魯古雅…敖魯古雅…/Aoluguya,Aoluguya…
※日本初上映
2007年/90分/DV/字幕 日本語、中国語、英語

広州国際ドキュメンタリー映画祭潜在力賞

内モンゴル北部に暮らすエヴェンキ族は、政府から狩猟を禁止され、新しい居住区へ移住させられた。しかし、彼らの一部はオルグヤの森に戻り、昔ながらの生活を続けている。夫と死別し、子供とも離れて暮らすリュウ・シアは、アルコールが手放せない。弟のウェイ・ジアも、目標を見失って酒びたりの日々。そんな彼らを酋長のマリアが見守る。時はゆっくりと流れ、遠くにトナカイの声が聞こえる。

監督 : 顧桃(グー・タオ)
1970年内モンゴル生まれ。内モンゴル芸術学院で油絵を、その後北京で写真を学ぶ。写真家としても活躍しており、受賞歴も多数。03年からオルグヤのドキュメンタリーを撮り続けている。