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中国インディペンデント映画祭は2008年8月に第1回を、2009年12月に第2回を開催し、これが第3回となります。
中国の成長に合わせるかのように、映画祭も回を追うごとに進化してきました。今回は作品数、ゲスト数ともにこれまでで最多です。
中国でのインディペンデント映画を取り巻く状況も少しずつ変化を見せており、ある程度の出資をうけて製作される作品も増えてきています。それも、海外のファンドばかりでなく、中国国内からも資金が集まるようになってきました。今回この映画祭が多くの監督を招聘できるのも、このような背景と無関係ではありません。
とはいえインディペンデント映画をとりまく中国国内の環境は依然として厳しく、上映する機会が非常に少ないうえ、特に昨年から今年にかけては政府が民間の映画祭を中止させるなど、圧力が高まってもいます。
しかし、こうしたインディペンデント映画だからこそ、激動する現代中国社会で生きている人々の不安感や、庶民の強かさがリアルに描かれています。特に今回は、地方政府のトップに密着取材した『書記』や経済発展のための犠牲を強いられる村人を撮った『天から落ちてきた!』、社会の下層と呼ばれる人々のたくましさを描いた『占い師』など、今の中国を象徴するような人々を撮った優れたドキュメンタリーがあつまっています。また、中国初のインディペンデント長編アニメーション『ピアシングⅠ』など、話題作も多数登場。商業映画からは知ることのできない、素顔の中国をうかがうことができます。ますます目が離せない中国インディペンデント映画をどうぞお見逃しなく。
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作品紹介 |
<<フィクション>>
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『花嫁』
新娘/THE BRIDE 2009年/102分
監督:章明(チャン・ミン)
何をするにも一緒な中年おやじ四人組。彼らは妻に死なれたチーさんのために、嫁探しを始めるが…。哀愁ただよう中年たちをシュールでユーモラスに描いた味のある一本。
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『冬に生まれて』
二冬/Er Dong 2008年/150分
監督:楊瑾(ヤン・ジン)
教会の学校に預けられた不良少年のアルトンが、駆け落ち、炭鉱労働などを経て若き父親になっていく。『牛乳先生』の楊瑾が再び山西を舞台に描く青春ドラマ。
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『歓楽のポエム』
尋歓作楽/The High Life 2010年/93分
監督:趙大勇(チャオ・ダーヨン)
ニセ職業斡旋所を営むペテン師が逮捕される。彼を取り調べるのは、下品な詩を作っては無理やり容疑者に読ませる変な警察官。欲望渦巻く広州を舞台に描く人間模様。
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『独身男』
光棍儿/Single Man 2010年/94分
監督:郝杰(ハオ・ジエ)
中国北部の辺鄙な農村に暮らす、年老いた独身男たちの物語。不倫も売買婚も同性愛も何でもある中国農村の猥雑な実態を痛快に描いたエンターテインメント。
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<<アニメーション>>
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『ピアシングⅠ』
刺痛我/PiercingⅠ 2009年/74分
監督:劉健(リュウ・ジェン)
都会暮らしに失望し、田舎に帰ることにしたチャンは、交通事故に遭った老婆を助けたはずが犯人にされてしまう。中国初のインディペンデント長編アニメ登場!
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<<ドキュメンタリー>>
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『天から落ちてきた!』
天降/Falling from the Sky 2009年/124分
監督:張賛波(チャン・ザンボー)
綏寧県の人々は、人工衛星ロケットが発射されるたびに落ちてくる残骸にいつも脅かされている。発展の犠牲を強いられる村人たちの生活を、カメラは丁寧に写し撮る。
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『恋曲(こいうた)』
恋曲/A Song of Love, Maybe 2010年/114分
監督:張賛波(チャン・ザンボー)
カラオケ屋で働く若い女性・ホエズは、知らぬ間に泥沼の不倫にはまっていた。中国人の恋愛感もよくわかる、ドラマ以上にドラマチックな恋愛ドキュメント。 |
『占い師』
算命/Fortune Teller 2009年/129分
監督:徐童(シュー・トン)
『収穫』い次ぐ徐童監督第二弾は、障害のある路上占い師夫婦の物語。中国庶民のもつユーモアーやしたたかさがにじみ出た、愛すべきドキュメンタリー。
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『ゴーストタウン』
廃城/Ghost Town 2008年/122分
監督:趙大勇(チャオ・ダーヨン)
雲南省北西部の山中にあるゴーストタウンと、そこに勝手に住み着いている少数民族の人々の日常。大自然に抱かれた不思議な町は、のどかで美しく、そしてたくましい。
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『書記』
書記/The Transition Period 2009年/104分
監督:周浩(チョウ・ハオ)
河南省固始県の最高権力者である書記を3ヶ月間にわたって密着したドキュメント。書記の知られざる実態を通じて、現代中国の深刻な病理が浮き彫りになる。
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