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<スタッフ>
企画・制作 : 東風舎
制作協力 : 有限会社アスカード
スタッフ :
加藤 鉄 高田 稔 内藤 雅行 吉田 茂一
中川 登三男 永瀬 ユキ
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協力 :
小笠原茂 佐藤幸子 島田恵 獏原人村
六ヶ所みらい映画プロジェクト ミュージックイン山中湖
挿入曲 :
マサイ「だまされるんじゃねえ」
エンディングギター演奏 大家昌治 |
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<解説>
この映画に登場する人びとは、高汚染地域とされた福島県飯舘村と川内村で、地道に自らの役割を生きています。みなそれぞれ自然との関わり方、いのちへの接し方で私たちに何かを告げているようです。
山菜と薬草の研究をしている現代の仙人は、山の動物たちと共生しています。ドブロクづくりの名人は、妻を亡くしながらもモリアオガエルの卵のふ化を待っています。獏原人村の住人は、山奥で鶏を飼いながら理想郷づくりを目指し、放射線量を測り続け、「満月祭」を催しています。飯舘村で地球の鏡のような田んぼを見ている女性は、木々を包み込む蛍の夏を待っています。
動物や虫たちや草木などと共にいのちを繋げ、当たり前に日々を暮らしている人たちが登場するこの作品は、3.11以後の人生の静かなドラマを親しみを込めて記録したものです。
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<コメント>
カネ、効率、従属、屈服など、
工業社会の犠牲になっていた都会の生活が、決して人間的なものではなかった、とあらためて思い知らせてくれた。
それが原発事故の悲惨が示した、唯一の希望である。
鎌田 慧(ルポライター)
かつて、青森県六ヶ所村で「おまえ沼の神になれ、おれは田の神になる」と呼びかけた小泉金吾さんの映画『田神有楽』(加藤鉄監督)を何度も観ました。その淡々とした映像が忘れられません。この「フクシマからの風」のなかにも、同じ息づかいをする人々の姿が捉えられて、胸にせまります。
山田 征(ヤドカリハウス)
飯舘村と川内村の古老の話は土に生きる智慧と工夫に溢れていて面白く、思わず話しに引き込まれ、笑みさえ誘う。
そしてラストシーンの蛍の群棲地に佇む女性の清んだ声が、草木をゆする風の音とともに今も耳から離れない。心にしみいる映画である。
土本 基子(映画同人シネ・アソシエ)
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< 監督メッセージ>
10年間の農的生活を打ち切って、私を再びカメラに向かわせたものは何だったのでしょうか。
3.11から1カ月半たって、飯舘村~南相馬~川内村へ3日間の視察撮影に同行し、その後私に撮影機材が提供されても、すぐ映画作りに立ち上がることはできませんでした。言葉を失ったままの私を引き留める何かがあったのです。それにしても、その3日間に出会った村の人たちのなんと魅力的だったことか…。
皆、困難のただ中で、人知れぬ苦しみや怒りや悲しみを内に抱えながら、なんと和やかに温かく、にこやかに「までい」に接してくれたことでしょう。結局、私はその人たちに呼ばれたのだと今では思うようになりました。正直、私にも撮影を始めた動機というものがハッキリ分からないのです。
この作品は、私がこれまでの人生から共感し共鳴したいと思う人たちを撮影したものに違いないのですが、自分にとっても、不思議な様々な出会いにより、奇跡のようにできあがった作品なのです。
加藤 鉄(監督)
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