愛しきソナ

− きっと、また会える −
世界中を笑顔と涙で包んだ傑作「ディア・ピョンヤン」から5年。
在日二世の映像作家ヤン・ヨンヒが、近くて遠いふたつの国をつなぐ
絆と愛を描いた可笑しくも切ない家族の物語。

2009年/韓国・日本/カラー/ドキュメンタリー/82分

<スタッフ>
監督・脚本・撮影 : ヤン・ヨンヒ 

エグゼクティヴ・プロデューサー : チェ・ヒョンムク 
編集 : ジャン・ジン 
音楽 : Marco 
制作 : ZIOエンタテインメント AND支援作品
宣伝 : ザジフィルムズ 
配給 : スターサンズ

― 北朝鮮への入国禁止を言い渡されたヤン監督が、愛する姪ソナへと贈るメッセージ ―

私の大好きなおばちゃん、お元気ですか。
私は金日成総合大学の英文科に合格しました。
おじいちゃん、おばあちゃんに
心配しないでとお伝えください。  ソナ
<ストーリー>

北朝鮮に渡った兄と姪のソナの成長を記録した感動作!

大阪で生まれた在日二世の映像作家ヤン・ヨンヒが、朝鮮総連の元幹部の父への複雑な想いを自身の家族の10年間の中に描いた前作は、ベルリン国際映画祭最優秀アジア映画賞、サンダンス映画祭審査員特別賞、山形ドキュメンタリー映画祭特別賞など数多くの賞に輝いた。あれから5年、遂に完成した新作は、心に染み入るような繊細な優しさが伝わる感動作だ。帰国事業で70年代に北朝鮮に移り住んだ3人の兄と姪のソナにフォーカスを合わせ、近くて遠い二つの国をつなぐ強い絆と深い愛をめぐる、可笑しくも切ない家族の物語を描き切った。

愛する人たちが暮らすその地を想う時、私の心はいつも引き裂かれる。
ソナの屈託のない笑顔と成長を温かいまなざしで見つめながら、当時“地上の楽園”とされた北朝鮮に父によって送り出された兄たちがたどった運命とその胸に秘めた想い、そして自分の息子を送り出しながらその後の思いもよらない状況に悔恨の念をにじませる父の心情とその病床の姿を、厳しい視線で映し出す。選択の機会が与えられない社会で育ったソナと、自由を謳歌しながら育った自分を重ね合わせ、ふたつの国に暮らす自分の家族の生きざまを描きながら、そこに思想や価値観の違いを超えた家族への切ない想いを浮かび上がらせる。

誰も見た事のない北朝鮮の庶民の日常生活。
 北朝鮮と言えば、声高にニュースを読み上げる番組や一糸乱れぬパレードとマスゲーム、または潜入取材で隠し撮られた極貧生活や脱北者など扇情的なイメージばかりで、庶民の日常生活がテレビで紹介される事はない。本作ではホームパーティーや墓参り、結婚式の様子や、ボーリング場で遊ぶ姿、子供の登校風景など、庶民の日常のひとコマが数多く切り取られ、そこで暮らす人々の心の中はわれわれとあまり変わらないという事が画面から伝わってくる。特に母を思いやる気持ちを歌った北朝鮮の曲を弾き語る姿には、誰もが心を揺さぶられるだろう。 


<プロフィール>
監督 : 梁 英姫(ヤン ヨンヒ)Yang Yonghi
大阪市生まれ。在日コリアン二世。東京の朝鮮大学校を卒業後、教師、劇団女優、ラジオパーソナリティーを経て、1995年から映像作家として活躍しながら報道番組でニュース取材やコメンテーターを務める。1997年より約6年間ニューヨークに滞在し、ニュースクール大学大学院メディアスタディーズ修士号を取得。2003年に帰国。日本での活動を再開し、2005年に長編ドキュメンタリー『ディア・ピョンヤン』を発表。ベルリンを始め多くの国際映画祭で受賞するが、この作品が原因で北朝鮮政府から入国禁止令を受ける。現在は新作として初めての劇映画の脚本を完成し、撮影準備を行っている。 
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