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<スタッフ>
監督 : チャオ・イエ(趙曄)
配給 : シネマトリックス
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蒸気機関車と炭鉱の町、ジャライノール。
満州、ロシアそして中国。歴史の波に翻弄されつづけた最果ての地で出会った、老機関士と若者。
ふたつの魂が触れあい、響きあう−−。
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<ストーリー>
蒸気機関車・最後の聖地で−−
人と大地が出会い、そして別れがやってくる
ロシアと国境を接する内モンゴル自治区、ジャライノール炭鉱。ここでは、古びた蒸気機関車が未だにひっきりなしに動いている。そこで働く年老いた機関士ジョー・ヨウシアンと、年の離れた後輩リー・ジーチョンは仕事の間も、後もいつも一緒だ。そんなある日、ジョーが30年働いた炭鉱を去り、娘夫婦のもとに行くことになった。ジョーを追って旅に出るリー。老いた魂と若き魂が引きつけあい、また離れる。ふたつの心はどこに向かうのか−−。
<ジャライノールとは>
ジャライノールは、中国・内モンゴルのロシア国境近くの炭鉱街である。ロシア帝国は黒龍江省に東清鉄道(満洲里ー哈爾濱—綏芬河を結ぶ)を建設し、1901年ここに鉄道駅を作った。
東清鉄道沿線は治外法権地域として帝政ロシアからソ連時代までロシアの管理下にあったが1932年に満州国が成立後、日本はソ連から東清鉄道及びジャライノール炭鉱を買収した。日本敗戦後、完全に中国の炭鉱になったのは、1953年以降である。しかし1990年代の市場経済への移行のなかで、経営が悪化、多くの採炭所の閉鎖を余儀なくされ、2006年には電力会社に買収され、新たに出発するに至った。
ジャライノールにある石炭鉱山では、いつもたくさんの白い煙が上がり。何両もの蒸気機関車が石炭を運んでいる。世界中のSLファンに「最後の聖地」と呼ばれるジャライノール。しかし、コスト面などの問題から現在はトラックやディーゼル機関車への移行が進んでいる。
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<解説>
世界の映画祭で圧倒的な支持を得た、中国の新たな才能!
監督は本作が長編映画第二作目となる新鋭チャオ・イエ。北京電影学院アニメーション科出身という特異な経歴ながら、蒸気機関車・最後の聖地と言われるジャライノールの美しく広大な風景の中に、細やかな人間の機微を描き出す。その手腕は、映画監督・河瀬直美の目にとまり、そのプロデュースのもと、奈良を舞台にした『光男の栗』(桃井かおり主演)を完成させ、なら国際映画祭で上映、絶賛された。
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<コメント>
力強く、やさしく、懐かしく、透明な空気、風、青い空。
強く、強く印象に残っています。
映画は意味よりも、存在感の方が大事なのかも知れない。
この映画を観てそう思いました。
——岩井俊二さん(映画監督/『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』)
チャオ・イエ監督の美意識の極地の映像。
ゆっくりと確かな人間たち、雪解けのように流れていく物語。
これは一級品映画です。
——桃井かおりさん(女優/チャオ・イエ監督『光男の栗』主演)
この映画の魅力はそのフレームの切り撮り方と編集の妙である。リアルな土地の匂いを体現できることや登場人物への感情移入も、それらの天才的な構築力が影響している。まだ30歳そこそこのこの才能は、熟年の域に達していて、そのスケール感は見るものを圧倒する。映画『ジャライノール』が吐き出す炭鉱の煙は、チャオ・イエの生々しい息遣いとして見るものの心を揺さぶるだろう。
——河瀬直美さん(映画監督/『殯の森』『玄牝—げんぴんー』
『ジャライノール』は、移り変わる時の中で、消えゆくものすべてに対する深い哀しみを描く詩的な映画だ。
——釜山国際映画祭2008
偉大さ、恋しさ、手放したくない気持ち。過去と未来の共存。とてもパーソナルな、この物語は、中国の神話に共鳴するのだ。
——バンクーバー国際映画祭2008 |
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