『監督失格』公開記念オールナイト!
平野勝之が!林由美香が!
「北海道自転車3部作」一挙上映!


日時 : 2011年8月27日(土)  23:15開場 23:30開映

料金 : 整理番号付き前売券 2,200円 / 当日2,500円
 ※前売券はポレポレ東中野の窓口で販売中。
  完売の場合、当日券の販売はありません



★緊急決定!スペシャルトークショー!岩井俊二×平野勝之
 公開を前にプレイベントが目白押しの『監督失格』。
 8月27日にポレポレ東中野で開催される平野勝之特集「北海道自転車三部作一挙上映」では、
 ゲストに岩井俊二監督を迎えることが決定した。
 岩井と平野、異色の組み合わせの二人だが、出会いは岩井が主催するウェブサイト「岩井俊二映画祭」の対談だった。
 『監督失格』の試写を見て感銘を受けた岩井が、平野を対談の相手として指名したことにより実現した対談企画。
 互いの映画対する想いで意気投合した二人だったが、今度は平野からの指名返しを受ける形で、
 岩井が平野勝之特集に参加することになった。
 果たしてどんなトークが繰り広げられるか、映画ファンとして絶対に外せない貴重なイベントになること間違いなし。


【上映作品】

『由美香』

監督:平野勝之
1997/DVCAM/140min/製作・配給:V&Rプランニング

私は仕事8割でした。(由美香・女優)
僕はプライベート8割でした。(平野勝之・監督)
いいかげんにして下さい。(平野ハ二―・監督夫人)

作品とは伝達である。個人的な体験をいかに社会化し他者に伝えるか、だ。本作品は全編140分あまりというアダルトビデオとしては気の遠くなるような超長尺ものだが、しかし見ている間もそして見終わった後も、素直に思うのは「ただただ面白い」という一言であった。見もふたもない言い方をすれば、これは、“ひとりの異色AV監督が、不倫相手であるトウの昔に人気のなくなったAV女優を連れて東京から北海道の礼文島まで自転車で向かった41日間の記録”である。それ以上でもそれ以下でもない。
近年アダルトビデオの世界では監督が8ミリビデオを手に女優とともに、あるいは地方のAV女優志願の少女たちを求めてさまよう”ロードムービー物“が盛んだが、この作品にはドラマチックな男女間の愛増のうつろいも、観る者の好奇心をそそるべきスペクタクルもない。言わばごくプライベートな、映像による旅日記にすぎない。
しかし、それでも32歳の妻帯者たる平野が一カ月以上かけて不倫相手と旅行するとなれば、かつて「夫が仕事上で他の女と寝ることは少しも気にならない。」と語っていた気丈な平野の奥さんもショックのあまり「全身の力が抜け」てしまう(笑)し、平野も林由美香の唯一の肉親である彼女の母親を説得し旅に出る許しを得なければならない。平野の友人でありかつての林由美香の恋人であったAV監督・カンパニー松尾にも心の揺れは隠し切れないし、本作の制作会社V&Rプランニングの社員・パクシ−シ山下(現在はフリーAV監督)は、この絶望的に売れる見込みのないビデオの企画を通すために頭をしぼるはめになる。
そんな身近な人間模様を、平野はただただビデオカメラでとても丁寧に記録してゆく。この物語は1052キロの道程をまさに自転車をこぐように丁寧に描くことによって、観る者の心を揺さぶるエンターテイメントに仕上げた、ふたりの個人的な夏の記録なのである。
東良美季(AV評論家)


『流れ者図鑑』

監督:平野勝之
1998/DVCAM/105min/製作・配給:V&Rプランニング

さまよえる全ての人々へ
「由美香」に続く【北海道自転車3部作】の第2弾。新人女優・松梨智子と自転車での北海道旅行に出かけたAV監督の平野は、「性の映像化」という使命と女優への愛憎に葛藤しながらさすらい続ける。次々に現れる旅の「流れ者」との出会いが彼らを和ませる。が、最悪の天候で平野の苛立ちが加速する中、2人の溝が深まっていく…全編、雨の原野を舞台に私小説的な手法によって暴かれる男と女の虚実…合掌。

平野さんは「自由」ということの不自由さを体で知っている人だと思う。ぼく達は「本当の自由」の底暗い恐ろしさを平野さんの映画で疑似体験をする。それは、物凄く不快で物凄く刺激的だ。
松尾スズキ(劇作家)


『白 THE WHITE』

監督:平野勝之
1999/35ミリ/118min/製作・配給:V&Rプランニング

冒険の映画ではない、映画の冒険である。
かつて天才チャップリンの多才ぶりは世間を驚かせ、「バッファロー‘66」で監督主演を兼任しているヴィンセント・ギャロもその映画的才能を評価された。が、たったひとりで映画を完成させたものがいただろうか?
正確な構図の画面の中で、平野勝之みずからが演じる主人公が自然と格闘し、疾走し、密やかな恋に心ときめかせ、悩み苦しみ、涙を流す。撮影も平野自身であることを誰が信じられるだろうか?アシスタントすらいない。平野勝之はたったひとり、厳冬の北海道を自転車で北上しながら、その危険極まりない旅をスペクタクルアドベンチャ―映画として仕上げた。世界初完全単独撮影。