「LINE」

すべてはひとつの「線」となって繋がっていく
2008/SD/52分/日本

<スタッフ>
監督・撮影・編集:小谷忠典
製作:ソライロフィルム
配給:ノンデライコ 
宣伝:スリーピン


<ストーリー>
波打つ水の波紋。自転車で走っていく後ろ姿。大阪府大正区。ここは沖縄からの移住者が多く住む街だ。

足の踏み場もないほど散らかった部屋で父と暮らす監督・小谷忠典の日常とその目に映ったものが綴られていく。酒に溺れる父と、血のつながりのない恋人の子どもとの日々の暮らしの中に言葉にならない苛立ちが積み重る。

苛立ちを抱えたまま、小谷は自らが住む街と深く結ばれる沖縄に向かった。そこで目にしたコザの娼婦たちの顔、体そして裸体。誰も見ることのない、彼女たちの体に刻まれた「傷と言葉」が一本の線となって、小谷と沖縄を繋いでいく。その線が向かう先はどこなのか? ?
血と地を超えた「LINE」が親と子のキズナを紡いでいく。

ヨーロッパの各映画祭で静かな熱狂を巻き起こした新世代ドキュメンタリー、ついに公開
<解説>
全編を貫く「見つめる」というカメラアイの在り方は、決して他者との境界を踏み越えることはない。しかし、限りなく他者に近づき「見つめる」その距離が、次第に見つめ続ける時間そのものと共に融解していく過程の中で、その映像はドキュメンタリーに内在する「フィクション」をも飛び越え、ただ「映画」に昇華していく。それは同時に、一見繋がりそうにない父、恋人の子ども、コザの娼婦、傷痕を細い一本の線[LINE]で繋ぎとめ、「他者と向き合うこと」「関係すること」の本質を浮かび上がらせる飛翔でもあるのだ。

「家族」を題材にしながらも、かつてないアプローチがヨーロッパの各映画祭で賞賛を浴びた本作。大阪を拠点に『いいこ。』(05)等,インディペンデントで劇映画を中心に制作している監督・小谷忠典が、本作で初めてドキュメンタリーに挑戦。フィクションとノンフィクションの境界を自由に行き来する新鋭に是非ご注目下さい。
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