|
<スタッフ>
監督 : 藤本幸久
撮影 : 小寺卓矢 藤本幸久
宮崎利春 西丸栄次
録音 : 久保田幸雄
編集 : 藤本幸久/影山あさ子
|
ナレーター : 影山あさ子
三線・唄 : 金城繁
通訳 : 金俊河
翻訳 : 金成進
製作・著作 : 森の映画社 |
|
米軍の新基地建設を11年間止め続けている沖縄・辺野古のおじいやおばあたち。
20年の闘いで米軍の射爆場を撤去させた韓国・梅香里の漁民たち。
40年間、北海道・矢臼別演習場のど真ん中に暮らし続ける農民。
志を守り屈せずに、闘い続ける人々の姿がある。 |
|
<解説>
■沖縄・辺野古(へのこ)
人殺しの基地はつくらせない」。住民たちの体を張った座り込みと海上での阻止行動で、11年間、海兵隊の新基地建設を阻止している。
■韓国・梅香里(メヒャンニ)
50年以上、米空軍の爆撃演習に苦しんできた韓国・梅香里。住民たちの粘り強い闘いは、射爆場の閉鎖と損害賠償を勝ち取った。
■北海道・矢臼別(やうすべつ)
北海道・矢臼別にある日本一広い陸上自衛隊演習場。97年から毎年、沖縄の海兵隊が実弾演習にやってくる。川瀬氾二は、その真ん中に40年以上も住み続けている。彼を支えているのは、日本国憲法9条の存在だ。
辺野古、梅香里、矢臼別。基地と隣り合わせに住む人の、静かな強い意志と暮らし。日本を戦争をする国にはさせない。瀬戸際の闘いは今日も続いている。
2005年の完成から3年、新編集の2008年版には、米軍再編の日米最終合意の後も、日々闘い続ける沖縄・辺野古の人たちの姿がある。
2006年10月、日米政府は辺野古へ改めて新基地をつくることに合意。
防衛省による「事前調査」と称する作業が再び始まった。2007年5月、政府は海上自衛艦「豊後(ぶんご)」を辺野古へ派遣。海の安全を守るはずの海上保安庁も、辺野古住民の阻止行動に対して、執拗に妨害を繰り返す。2008年7月。今日も、毎日、辺野古の海へと向かう住民たち。彼らの静かなメッセージに、耳を傾けて欲しい。
|
|
<コメント>
「Marines Go Homeに寄せて」
逆風のなかで
澤地 久枝(作家/9条の会呼びかけ人)
人間として、ギリギリの声をあげようとする人たちに、逆風が吹きつのる。勇気を試されるいやな「政治の季節」到来である。しかし、何十年も見事にその志を守り、屈せずに生きてきた人たちはいる。日本にも、韓国にも。
戦後六十年、さらにはこれからの計測しがたい年月、米軍の軍事基地を容認し続けるとはどういうことか。米軍基地という明白な憲法違反を日米安保条約は招来した。
北海道矢臼別の陸上自衛隊基地。その原野の真ん中に四十年住みつづけ「自衛隊は憲法違反」と大書し、憲法前文と第九条条文を屋根にくっきり書いている川瀬氾二さん。米軍の実弾射爆場梅香里で反対運動を展開したチョン・マンギュさんが川瀬さんを訪ねてくる。実弾演習は沖縄の市民生活のそばでもおこなわれ、沖縄から矢臼別へ米軍の移動訓練もある。梅香里も日本本土も沖縄も、まるで「アメリカ軍の庭」のようだ。
一九九五年秋、米兵による少女強姦事件のあと、沖縄県民空前の抗議行動から、普天間基地返還問題は日程にのぼった。だが、代替に辺野古の海上基地建設という驚くべきすりかえがなされた。辺野古の海を守るべく、座り込み九年、さらにボーリング阻止の行動がおこなわれている。本土から参加の若者は、沖縄のおばあたちの逞しい明るさに励まされ、力づけられている。
辺野古では、日本人対日本人の対決となり、米軍は他人事のようだ。施設庁の役人は平然と同胞をだまし討ちする。日米関係を冷静に見直さなければ、日ならずして日本はアジアで、世界で孤立しよう。いつまで米軍基地を許しておくのか。
米軍基地の実態、たたかう人たちの静かでつよい意志と暮らし。私たちが日頃見失っている世界がゆるやかなテンポ、丁寧な描写でしっかりとらえられ提示される。
作者たちの情熱と執念が辺野古、梅香里、矢臼別の三点を結んだ。事実を知ることは力になる。そこから知恵も勇気も生れてくるのだ。
|
|