「美代子阿佐ヶ谷気分」

阿佐ヶ谷の彼の部屋であたし平和よ

2009年/35mm/DVCAM/86分

<キャスト>
水橋研二
町田マリー
本多章一
松浦祐也
あんじ
三上寛
林静一
佐野史郎
<スタッフ>
原作 : 安部愼一

監督 : 坪田義史
音楽 :
Maher Shalal Hash Baz/Tori Kudo
/恒松正敏/Tenniscoats 他
主題歌:SPARTA LOCALS『水のようだ』
<ストーリー>
愛のすべてを描きたかった・・・
70年代初頭。漫画家・安部愼一と恋人の美代子は東京・阿佐ヶ谷で同棲生活を送っていた。彼女をモデルとして月刊漫画ガロに発表した『美代子阿佐ヶ谷気分』は、彼らの一番美しい青春の季節を見事に切り取っただけでなく、当時の若者たちを取り巻く時代の空気感をも掬い取り、彼の代表作となる。しかし、自らの私生活の中に創作の糧を見つけようとする安部は次第に行き詰まり、焦りと絶望は次第に狂気をはらんでいく。その傍らで美代子は自らの性(さが)を意識し始める・・・「私たちだけ幸せだったら、それでいいじゃない」−−−運命の二人の愛の変遷。

<解説>
1970年代、やるせない空気の漂う時代。かつて井伏鱒二、太宰治らが文学コミュニティを形成していた東京・阿佐ヶ谷では、漫画界の巨匠・永島慎二が地元を舞台にした「若者たち」を発表。彼を慕う若者達が次第に街に集まり地元文化を題材にした作品を発表していた。若き安部愼一もその一人であった。
阿佐ヶ谷に居を構えた彼は、後のサブカルチャーにも大きな影響を与えた伝説の雑誌「月刊漫画ガロ」の次世代の作家として注目を集めたが、創作への不安、焦り、絶望が彼を蝕んでいく。精神を病み、一時筆を置いた時期はあるが、私生活に根ざした創作活動を続ける安部の作品は、日々の愛情、友情、挫折や疑念までも赤裸々に描き出す。数ある短編のモデルとなっているのはいつも、唯一人の恋人であり後の妻である美代子だった。「激しい人生=作品群」の中で彼が一貫して語るのは、叙情的で、ある種ストイックなまでの純愛である。
主演・安部愼一役には、今や日本映画界には欠かせない存在であり、最近ではフジテレビSPドラマ「これでいいのだ! 赤塚不二夫伝説」で赤塚不二夫を演じるなど活躍の場を広げている実力派俳優・水橋研二。運命の女性・美代子を劇団毛皮族など舞台を中心に活躍する町田マリーが演じる。本多章一、松浦祐也、あんじら若手俳優陣が伸びやかな演技を見せる一方で名優・佐野史郎が圧倒的な存在感を見せ、また安部愼一本人も多大な影響を受けたと語るイラストレーター・林静一を筆頭に『ガロ』ゆかりの人々が多数ゲスト出演。監督は2000年「でかいメガネ」でイメージフォーラムフェスティバル・グランプリ受賞の新鋭・坪田義史。また、Maher Shalal Hash Baz、tenniscoatsなど世界的に活躍するミュージシャンが音楽を支える他、SPARTA LOCALSが主題歌を担当、本作をドラマティックに彩っている。
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