もんしぇん


 愛すること、命を繋いでいくこと、自然との調和の中で生きること―
見失っていた大切なことを、この海が教えてくれた。
わたしたちの遠い記憶を呼び覚ますような、静かなファンタジーが
12年の時を経て生まれた。
35mm/カラー/ビスタサイズ/モノラル/1時間34分/ 2005年

公式サイト

〈出演〉
 玉井夕海
 
 近藤正臣
玉川スミ 
今野鶏三
榎木兵衛
神田時枝
沼田康弘 

荒木昭行
松崎トヨコ
森枝トラエ
松尾嘉子
〈スタッフ〉
監督:山本草介

脚本:玉井夕海 山本草介 海津研

プロデューサー:渡辺栄二
製作:山上徹二郎
製作協力:大和田廣樹

キャスティング:西川文郎
撮影:池内義浩
照明:大坂章夫
録音:鈴木昭彦
美術:須坂文昭
イメージ設計:海津研
衣装:宮本まさ江
ヘア・メイク:酒井香
助監督:岡秀樹
製作担当:濱崎林太郎 橋本淳司
スチール:加藤芳美 小林雄一郎
音楽:玉井夕海
音響効果:中村佳央

オープニング・テーマ:『Psalm of the sea』
 演奏:Psalm 作曲:玉井夕海 
 編曲:中原達彦
エンディング・テーマ:『脈動変光星』
 演奏:Psalm 作曲:玉井夕海 
 編曲:中原達彦

宣伝スチール:山本尚明
宣伝美術:大島依提亜

協力:熊本県天草市のみなさん

製作:シグロ・MK
配給 シグロ
<解説>
果てしない不安に押しつぶされそうになりながら彷徨っていた“はる”は、何かに導かれるように迷い込んだ小さな島の入り江で、不思議な老人たちに出会う。鏡のように穏やかな海。眩しい五月の緑。手をのばせば届きそうな星たち。
皆で口ずさむ懐かしい歌。母親のお腹の中にいるような穏やかな静けさの中で、“はる”は命のはじまりの不思議を知る。
 愛すること。命を繋いでいくこと。自然との調和の中で生きて行くこと--。
見失ってしまっていた大切なことを教えてくれたのは、この海だった。
12年前、一人の少女が天草の海と出会い、感じた強いインスピレーション。
それは次第に人々に伝播し、やがて小さな島の大きな願いをはらんで、一本の映画になった。

監督・脚本は山本草介。佐藤真、東陽一、ペドロ・コスタの演出助手を経て、デビュー作となる本作で瑞々しい感性を煌めかせる。
また脚本・イメージ設計を新進気鋭のアーティスト、海津研が手がける。
そして“はる”をつとめた玉井夕海こそ、長い年月をかけてこの物語を育んできた、いつかの少女。
『千と千尋の神隠し』でリン役をつとめた彼女は、本作では主演の他、脚本、音楽を手がけている。
私たちの遠い記憶を呼び覚ますような、静かなファンタジーが生まれました。
映画の世界観を際立たせる、“不思議な存在感”を放つ役者たち。
玉井夕海のユニットPsalm の奏でる、“祈り”にも似た清らかな歌声。


 主人公“はる”を演じるのは玉井夕海。不安に震える少女が、やがて新たな一歩を踏み出す決意を固める姿を、想いを込めて演じきり、強い印象を残す。“作一”には以前から、この映画の実現を応援し続けていた名優、近藤正臣。
確かな演技力で映画に一本芯を通す。“キクノオバ”役には、85歳の今なお現役で高座にあがる三味線漫談の師匠、玉川スミ。
彼女の存在感はこの映画になくてはならなかった。また、バイオリニストの松尾嘉子が映画初出演。
子を喪い、ショックから年をとることをやめてしまった“ちい”という難しい役に挑んでいる。
他に榎木兵衛、神田時枝などのべテラン俳優たちに交じって、監督たっての願いでロケ地、天草・御所浦島の老人たちが出演している。
はじめはためらっていた彼らだったが、本番ではプロ顔負けの演技を見せ、スタッフを驚かせた。
玉井は松尾嘉子や、箏弾き・かりんとともに音楽ユニット、“Psalm”を結成、本作の映画音楽を担当。
どこかノスタルジックなメロディーに乗る、祈りのように清らかな彼女の歌声が“もんしぇん”の世界を鮮やかに彩る。
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