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監督・撮影・編集:本田孝義
プロデューサー:伏屋博雄
空撮&クレーン撮影:福島英太郎
挿入曲:野崎良太"Tokyo Rhapsody"
美術:真部剛一(ニュータウン アートタウン展キュレーター)
キネコ:ヨコシネディーアイエー
タイミング:笠原征洋、横尾直樹
編集協力:株式会社ビデオウォーク
製作:ビジュアルトラックス、戸山創作所
*平成14年度文化庁映画芸術振興事業
配給:戸山創作所http://www12.plala.or.jp/toyama-honda/ |
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[出演]
山陽団地の方々
<ニュータウン アートタウン展>
岡田毅志、島村敏明、中村智道、PHスタジオ、Are
You Meaning Company
ノーヴァヤ・リューストラ(中野良寿 安原雅之 横湯久美)、鷹取雅一、江崎洋子
真部剛一、谷本雄太 |
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街ができ、人が住み、ボクはそこにいた。
岡山県山陽団地。1970年代初頭に造成された岡山市"郊外"の新興住宅地=「ニュータウン」。そこで育ち、高校を卒業したボクは「ニュータウン」を出た。そして「映画をつくる」ために帰って来た。街の歴史を調べる。家族に向かい合う。同級生と語らう。懐かしい人たちに会いに出掛ける。
内部告発したひとりの科学者を描いた映画『科学者として』が多くの観客を集めた映画監督・本田孝義。自らの故郷、岡山県山陽団地を題材にした映画を思い立ったのは、神戸の酒鬼薔薇聖斗事件がきっかけだった。事件が起こった場所は、ボクが育った街に似ている・・・。そこは、日本のどこにでもあるような「ニュータウン」だった。
日本のあちこちにある「ニュータウン」。あなたの近くにある「ニュータウン」。 高度成長期、核家族化が進むのに合わせて、日本各地につくられた「ニュータウン」。高層住宅もあれば、一戸建もある。安価な土地と住宅に惹かれ、多くの家族が移り住んだ。ささやかながらも安定した暮らしを夢見た世代。それから、数十年、「ニュータウン」は曲がり角を迎えている。ニュータウン第一世代の高齢化。それに伴う、街全体の空洞化。土地・住宅の売れ残り、ニュータウン事業自体の縮小や撤退。
誰でも、どんな世代でも、「何か」を思い出すことができる映画。
少し色あせた街にアートを届けるために、ボクは美術展を企画する。「ニュータウン」に傘が舞い、いろんな色が広がっていく。ボクは、思った。「ニュータウン」に住む人たち、それぞれの"物語"があり、「ニュータウン」そのものに"物語"がある、と。アナタはむかしどこに住んでいましたか。今、どこに住んでいますか。どんな人と出会いましたか。ささやかな思い出を忘れていませんか。 |
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重松清さん(作家)『ニュータウン物語』を語る
日本の歴史でっていうふうに言ったら大げさなんだけど、少なくとも戦後でね、値段によって家を買う、その発想が出来たのって、多分、ニュータウンからでしょ。だからすごく値段で輪切りになってて、何かお金払って買ったっていうものが、すごくあって。そうしないと何か幸せを実感できないのかもしれないし、それがあるから全てがお金に換算されたのかもしれないんだけど。
夫婦の仲がいい、それから親子の仲がいいっていうのが大前提で、これがニュータウン的なる幸せの雛形なんだよね。でも、本田さんの場合は、ニュータウンの街づくりに一から関わってきたお父さんがいらっしゃって、しかし、そのお父さんが一番身近なさ、我が家の幸せってキープ出来なくて、その皮肉な構造の中で育った息子が今ニュータウンを撮るっていうね、ここの部分でものすごく見えてきたものがあったんですよ。
高みからニュータウンを考えるんじゃなくて、ニュータウンの中で、まさに中からの目線を原風景として持っている本田さんが外から入ってきて撮るっていうさあ、そこだと思うんだよね。ニュータウンってなかなかふるさとらしくない街並みなんだけど、明らかにでもふるさととして残ってるところがあるんだなあ、と思って、何かうれしくなっちゃったね。
マスコミのニュータウン報道の基本にあるのも、悪者探しだよね。でも、その悪者探しをするんじゃなくて、一杯矛盾をはらみながら、矛盾や理不尽やさ、不合理なところをはらんだ街だけども、それでもそこで生きてるさ、人の営みっていうのをやっぱり見ていかなきゃいけないと思うし、それをすごくね、丁寧に撮ってくれたことで、何か社会悪を告発するドキュメンタリーじゃなくて、しっかりとした作品としてのね、ドキュメンタリー映画になったなと思ってすごくよかった。
ニュータウンを核にして、ニュータウン世代を通じて、いろんな広がりがあるドキュメンタリー映画だよね。
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