追悼 大野一雄




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2011年6月1日は、舞踏家・大野一雄さんの一周忌です。
限りない哀しみと溢れるばかりの愛で、そこにある魂に気付かせてくれる舞踏は、逝去しても尚、言葉にならない感動を多くの人に与え続けます。

当館で昨年開催した追悼上映では、縁あるゲストの方が当時の思い出を語り、また、指人形で蘇った大野一雄さんがElvis「Can't Help Falling In Love」にあわせて優雅に踊った一夜も記憶に新しく、割れんばかりの拍手が今でも場内から聞こえてくるようです。

あれから一年。今年もポレポレ東中野では、大野一雄さんの御冥福をお祈りすると共に、追悼の意を込めまして、追悼上映を開催します。どれもが大野一雄さんに魅了された映像作家による渾身の作品ばかりを4本、計3プログラムに分けて上映します。御堪能下さい。


タイムテーブル


上映作品
『ひとりごとのように』
2005年/100分/カラー/DVCAM

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監督・撮影:大津幸四郎/共演:大野慶人/製作・配給:クエスト

2000年、大野一雄は歩行不能になる。治療を受けていた病院から逃れ、舞踏研究所に帰ると、徹底的な身体の鍛え直しから再生の道をスタート。何としても、もう一度自分の踊りを踊りたい、その欲求と生来の強靱な意思とが、一雄を回復に導く。その覇気は舞台にも溢れ、観客を圧倒し、祝福の拍手に包み込まれる。大野一雄はいつまでも踊り続ける。
『魂の風景~大野一雄の世界』
1991年/75分/カラー/16mm

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演出:平野克己/撮影:大津幸四郎/共演:大野慶人/製作:アーバン21

大野一雄と向き合うと涙が溢れてくる。…その心の場所に迫ろうとした平野監督。1990年、北日本の原風景の中、そこに宿る生命に触れ、死者と対話し、精霊と化して無心に舞い踊った大野一雄。忘れられた心、喪われた感動を取り戻そうとする魂と魂の交流。記録映画の一つの頂点を示す圧倒的な映像美が16ミリフィルムで蘇る!
『O氏の肖像』(『KAZUO OHNO』と2本立て)
1969年/65分/モノクロ/DVD版

写真:ボブ・藤崎

監督:長野千秋

大野一雄は1968年から舞台活動を中止し、映画作りに没頭する。その最初の作品が「O氏の肖像」である。監督は、オノヨーコや伝説の内科画廊のドキュメンタリーを撮った長野千秋。65分のモノクロ映像に残された過激なO氏の実験から「ラ・アルヘンチーナ頌」にいたる大野一雄の内面の軌跡。
『KAZUO OHNO』(『O氏の肖像』と2本立て)
1995年/15分/カラー/35mm

Photo:樫部孝史

監督:ダニエル・シュミット/企画:愛知芸術文化センター、配給:ユーロスペース

ダニエル・シュミット×大野一雄。舞踏家が舞台上でのみ生み出すであろう空気感、空気のふるえ、ざわめきを捉えるとともに、主なロケ地である東京・晴海埠頭の空間的な特性を活かし切って、現実とも虚構ともつかぬ、陶酔するような夢魔的映像世界を現出させる。

     
《協力》
大野一雄舞踏研究所、(有)かんた、株式会社クエスト、愛知芸術文化センター、ユーロスペース
大津幸四郎、平野克己、池上直哉、諏訪敦

この追悼上映は、関係者皆さまの御好意と御協力により実現に至りました。心より、お礼申し上げます。