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〈出演〉
住田雅清 とりいまり 堀田直蔵 白井純子 福永年久 有田アリコ |
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〈スタッフ〉
監督 : 柴田剛
製作 : 志摩敏樹
原案 : 仲悟志 |
撮影 : 高倉雅昭、竹内敦
録音 : 森野順
編集 : 市川恵太、鈴木啓介
熊切和嘉、柴田剛 音響効果 : 宇野隆史
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音楽 : world’s end girlfriend
バミューダ★バガボンド
製作・配給 : シマフィルム
配給協力 : ポレポレ東中野 |
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<解説>
主演 住田雅清42歳 重度身体障害者
大阪在住の住田雅清は重度の脳性麻痺を持つ障害者。移動は電動車椅子、コミュニケーションはトーキングエイドというキーボードで音声を出す機械を使い、介護者のサポートを受けながら自活する傍ら、ショッキングなライヴパフォーマンスが熱狂的な支持を受けるなど、幅広く活躍。本作は本名のまま「襲い人・住田」役に体当たりの演技で挑戦した初主演作品。
モノクローム×ノイズのかつてないグルーブ!
全編を覆う狂気を孕んだモノクローム映像と、耳から離れないノイズ・ミュージック。
その実験的なアプローチで世界中から支持を受けるworld’s end girlfriendが手がける『おそいひと』の音楽は、斬新なカメラワークと相俟って、観る者の身体から鮮烈なカタルシスを放出させる。この中毒性ある濃厚な映像体験に、神経を激しく揺さぶられることは間違いない!
大阪芸術大学の最終兵器・柴田剛監督の傑作 ついに日本解禁!
毎回、誰もが恐れをなす危険なテーマに挑み、その先鋭的センスと爆発的発想力から、“要注意人物”として注目される監督の柴田剛。熊切和嘉監督「鬼畜大宴会」(97)、山下敦弘監督「腐る女」(97)の製作に協力し、99年、長崎の原爆音に取り憑かれた男の悲劇を描いた「NNー891102」で衝撃デビュー。「おそいひと」は「第5回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX2004」のプレミア上映以来、センセーショナルなテーマのため日本映画界から封殺されつづけてきた問題作。海外映画祭での高い評価が逆輸入し、3年という月日を経て、ついに日本凱旋上映が決まった。
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<ストーリー>
電動車椅子で移動し、ボイスマシーンで会話を交わす。重度の身体障害者である住田(住田雅清)は介護者のサポートを受けて一人暮らしをしている。また、住田のよき理解者でもあるバンドマンのタケ(堀田直蔵)とつるみながら、平穏な日々を過ごしていた。
そんなある日、住田のもとに大学の卒業論文のために介護を経験したいという敦子(とりいまり)が現れる。そんな経験は何度もしているはずの住田の中で、自身にも整理しきれない違和が蠢き始め、混沌とし、次第に狂気に身を委ねていく…。そして、住田はあるひとつの決心をするのだが…すべては血塗られた結末へと加速的に収束されていく。 |
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<コメント>
始まってすぐに映像の美しさに圧倒され、次いで主演・住田の存在感に引き込まれ、やがて監督・柴田の眼差しの繊細さに出くわして幾度となく言葉を失い、劇中の「小池」に黙祷しつつも、最後はこっちの気持ちを丸ごともって行かれた。もしあなたが、この美しい傑作を観る直前までの私と同じく、「不必要な過激さを盛り込んだ障害者モノではないのか」と警戒しているのなら、そういうあなたや私の力みの正体が何であるのかを、『おそいひと』は涙とともに教えてくれるかもしれない。
モブ・ノリオ(作家)
これはわるいえいがだっ!!!
加瀬亮(俳優)
ドキュメンタリーなんじゃないかと思うと恐怖を感じました。
いろんな見方があると思いますが私の心には突き刺さりました。
蒼井そら(女優)
ハッピーバースデー住田“トラヴィス”雅清さん
是非死刑となって あなたの自由を完成させて下さい
新井英樹(マンガ家) |
 
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<本作について>
1999年春。柴田は、「NN-891102」を映画祭等に出品、自主上映しながら、次回作を模索していた。柴田は当時、芸術集団“DMT”に加わっており、そのメンバーで、阪神障害者解放センターの職員だった仲悟志が、上司の住田雅清を柴田に紹介する。
障害者の自立支援、障害者解放という住田の活動について話をする中で、障害者とは一体どういう存在なのか、障害者が犯罪を犯した場合、どんな扱いを受けるのかという話題になる。
住田の身体性と暴力、身体障害者と暴力をテーマにした物語は、充分成立するのではないかという発想が生まれ、住田も映画出演に興味を示したため、住田を主人公に、身体障害者が犯罪を犯すという映画の計画が持ち上がる。
この計画は、若手芸術家へのパトロネージュを主旨とする、『もちの木基金』からの協賛を受け、程なく撮影の準備が始まる。もちの木基金の主宰、寺内氏が、神職だったこともあり、近代以前、歴史的な日本の障害者観に関して、多くのアドバイスを受ける。
住田の存在感に負けない配役を目指し、介護者タケに、バミューダ★バガボンドのボーカル、堀田直蔵。女子大生介護者、敦子に維新派のとりいまりが決まり、人が人を呼ぶ形で、
大阪芸術大学出身者を中心にスタッフが集結。
2000年夏、撮影に突入。冬には、ほぼ全ての撮影は終了するものの、少数のスタッフによる追加撮影と、編集作業がはじまる。
2002年、ライブドキュメント「ALL CRUSTIES SPENDING LOUD NIGHT 2002」を制作中に、MCRcompanyからシマフィルムを紹介された柴田が、シマフィルムに「おそいひと」の計画についてプレゼン。以後、難航していた作業を、シマフィルムが支援することとなり、2004年、映画として完成する。
2005年冬に、東京フィルメックスにてプレミア上映される。それ以降、そのセンセーショナルな内容のため、日本での公開が難航する。海外の映画祭での高い評価が噂となり、年12月、ついに日本での劇場公開が決定した。
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<プロフィール>
柴田剛(しばた・ごう):監督・編集
1975年、神奈川県生まれ。大阪芸術大学映像学科の卒業制作作品として処女長編『NN-891102』(99)を監督。2000年ロッテルダム映画祭、Sonar2000他、各国の映画祭に出品後、大阪・東京で劇場公開。長編第2作『おそいひと』(04)は、第5回東京フィルメックスでワールド・プレミアされ、ロッテルダム映画祭など15カ国以上の映画祭にて上映される。『青空ポンチ』(08)、「バミューダ★バガボンドDVD」を経て、長編第4作『堀川中立売』(ホリカワナカタチウリ)が完成。第10回東京フィルメックス・コンペティションへの出品が決定している。2010年劇場公開予定。
『堀川中立売』公式サイト
住田雅清(すみだ・まさきよ)
1957年4月11日生。西宮養護学校中等部卒業。
阪神障害者解放センターの事務局長と同時に、NPO法人・障害者生活支援センター「遊び雲」副代表 相談業務リーダー、全国自立生活センター協議会のピアカウンセラーとして、自立を目指す障害者の相談にのっている。
また、大阪に拠点を置く障害者だけの劇団「態変」のエキストラ出演、自身でバンドを組みライブを行うなど、アクティブに活動中。
<上映会挨拶より>
「障害者というだけで、過激な表現が暗黙の了解のもとに制約されてきた日本映画界において、障害者が常軌を逸した狂人として登場するこの映画は、優れた文化作品だと誇りを持って言えます。困難なことかも知れませんが、障害者が自分たちの文化を取り戻す作業が必要だと思います。そして、障害者も障害者の世界に閉じこもらず、もっと、いろいろな人たちと協力し合い、文化創造を力強くしていかねばならないと思っています。」 住田雅清 |
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