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女にとってセックスは恋愛だ。だから、ピンク映画はラブストーリーだ。
篠崎真紀(イラストレーター)
彼氏と恋愛について語るなんてあり得ない。でも、映画を観るのは簡単だ。
向夏(女優) |
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昨年末からの連続レイトショー、「花井さちこの華麗な生涯」「ビタースウィート」(共に女池充)、「かえるのうた」(いまおかしんじ)が好評を博したポレポレ東中野にてピンク映画の特集上映が開催。第一弾は、先に挙げた作品を始め今や最も一般映画との境界線が薄くなった国映・新東宝作品から、2004-2005年にかけて発表された近年の傑作を厳選。2本立て、もちろん35mmフィルムで鑑賞できる貴重なチャンスとなった。1本でも多くの「体験」と「発見」をこの機会に是非してほしいと願って止まない。(直井卓俊/SPOTTED PRODUCTIONS) |
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Aプログラム : 恋する団地妻
5.20.(土)〜5.23.(火) 21:00〜
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「団地の奥さん、同窓会へ行く」
2004|監督:サトウトシキ|脚本:小林政広
出演:佐々木ユメカ、川瀬陽太、向井新梧、風間今日子
小林節彦、女池充
俳優志望の夫を持つ明子は久しぶりの同窓会で元恋人との再会に胸をときめかせるが…。若き人妻の倦怠とピンク映画界の内幕を乾いたユーモアでシンクロさせた夫婦コメディ。脚本は『バッシング』の小林政広監督が担当している。映画は終わるが夫婦は続く。(那須千里) |
「草 叢」 (原題:不倫団地 悲しいイロやねん)
2005|監督:堀禎一|脚本:尾上史高
出演:速水今日子、吉岡睦雄、伊藤猛、森田りこ
佐々木ユメカ、マメ山田
人妻の秋江はテレクラで知り合った信次との関係にはまっていくが、不倫相手の元へ走った夫が帰ってきて…。行き場のない感情を持て余しながらとりあえず流されていく男女の時間を若手の新鋭、堀禎一がまったりと綴る。最後に残った女の孤独が妙に清々しい。(那須千里)
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Bプログラム : オタクとヒモの愛し方。
5月24日(水)〜26日(金)21:00〜
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「悶絶!!電車男」 (原題:痴漢電車 挑発する淫ら尻)
2005年度ピンク大賞ベスト10・第3位/映画秘宝誌上ベスト10・第1位
2005|監督:友松直之|脚本:大河原ちさと
出演:北川明花,武田勝晴,北川絵美,華沢レモン,飛田敦史,中村英児
日本を席巻した電車男ブームがピンク映画界に落としていった快作。本家が描けない最も重要なエピソード「童貞喪失」を命題に、痴漢男が2ちゃんねらーよろしく霊界列車に乗車した成仏できない幽霊たちと共に憧れの美人OLとのあり得ない恋愛成就に奮闘する。(綿野かおり)
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「ヒモのひろし」 (原題:SEXマシン 卑猥な季節)
2004年度シナリオ大賞入選作品
2004|監督:田尻裕司|脚本:守屋文雄
出演:吉岡睦雄,平沢里菜子,藍山みなみ,佐野和宏,川屋せっちん,小林節彦
セックス中にポルターガイストをも引き起こす強烈な男・ひろしとジャンベを抱えた美しい子持ち女・はるか。彼らの恋愛を見守るのはヘンテコな登場人物たちとコオロギ相撲。夏の河川敷でダイナミックなストーリーに躍る魅力的な主人公たちがキラキラまぶしい。(綿野かおり)
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Cプログラム : 不器用で歪な、男と女。
5月27日(土)〜29日(月) 21:00〜
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「ふ・た・ま・た」 (原題:悶絶ふたまた 流れ出る愛液)
2005|監督:坂本礼|脚本:尾上史高
出演:夏目今日子,藍山みなみ,石川祐一,佐野和宏,あ子,岸田雅子
OLの美紀はフリーターの亮介と同棲中。だが美紀は不倫相手の大学教授と、亮介も後輩と関係をもってしまう…。亮介を翻弄する二人の女性を夏目今日子と藍山みなみが好演。四組のカップルの愛の迷走をユニークに描いたスラップスティック・ラブストーリー。(那須千里)
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「たまもの」 (原題:熟女・発情・タマしゃぶり)
2004年度ピンク大賞ベスト10・第1位,監督賞(いまおかしんじ),女優賞(林由美香),新人女優賞(華沢レモン)
2004|監督・脚本:いまおかしんじ
出演:林由美香、吉岡睦雄、華沢レモン,栗原良,桜井一紀,佐藤宏
ボウリング場で働きながらプロボウラーを目指す35歳の愛子は若い郵便配達員と恋に落ちるが…。昨年惜しくも急逝した林由美香のサイレント演技が胸を打つ。人が人を思う気持ちはときに愚かで哀しい。それでも爽快感すら漂うラストはそのたくましさを許すのだ。(那須千里) |
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Dプログラム : 強く生きる、ということ。
5月30日(火)〜6月2日(金) 21:00〜
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「痙攣」 (原題:淫らな唇〜痙攣)
2004年度ピンク大賞ベスト10・第3位,女優賞(佐々木ユメカ)
2004|監督:田尻裕司|脚本:芳田秀明
出演:佐々木ユメカ,真田幹也,北の国,堀正彦,大葉ふゆ,はやしだみき
雑誌編集長と不倫中の奔放な女性カメラマンを主人公に、揺れ動く恋愛の位相を丁寧に描く。三十路に差しかかった女性の心の機微や身体感覚をも捉え、ピンク映画だからこそ表現しえたといえるみずみずしい女性映画。佐々木ユメカのリアルな存在感が共感を呼ぶ。(綿野かおり)
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「言い出しかねて」 (原題:わいせつステージ 何度もつっこんで)
2005年度ピンク大賞ベスト10・第2位,女優賞(向夏)
2005|監督・脚本:後藤大輔
出演:向夏、小滝正太,川瀬陽太,望月梨央,森田りこ,狩野千秋
さえない腹話術師の男とその弟子を、盲目ゆえに取り違えたまま恋してしまった少女を巡り、「声」と「身体」を二人一役で演じなければならなくなった男たちの奇妙な三角関係をコミカルかつ切なく描いてゆく。人生を語る美しい寓話のような趣きをたたえた傑作。(綿野かおり)
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