プージェー
puujee

20世紀末、変わりゆくモンゴル
少女は草原を駆け抜けた

2006/日本映画/長編ドキュメンタリー/カラー/110分/puujee製作委員会

 公式サイト


1999年秋。
探検家・関野吉晴は自在に馬を操る少女の凛々しい姿に惹かれ、
シャッターを切った。すると少女は、突然言い放った。
「写真撮るなら、こっちに来ないで!」
出逢いは、こうして始まった。

<スタッフ>
監督 山田 和也

撮影 佐々木 秀和  嶌村 泰人

録音 渡辺 盛男  大畠 聡
音楽 川崎 真弘
制作プロデュース 大島 新  本所 稚佳江
制作 クリエイト21
製作配給 puujee製作委員会
編集 伊藤 誠
音響効果 金田 智子
EED 池田 聡
MA 高木 創
技術 インフ
技術プロデュース 樋田 勝也
技術チーフ 長谷川 諭
協力 フジテレビ
    グレートジャーニー応援団
草原を駆け抜けた少女
探検家・関野吉晴が出会ったモンゴルの少女・プージェー
<ストーリー>
 1999年、市場経済導入から10年近くたったモンゴル。チンギス・ハーンの時代から守り続けてきた大草原や人々の暮らしにも、様々な変化が現れてきていた。これは、変わりゆくモンゴルの草原で起こった、小さな、しかし深い出逢いの物語である。
 探検家の関野吉晴は、南米最南端から人類誕生の地アフリカを目指す旅「グレートジャーニー」の途上、モンゴルの大草原でひとりの少女と出会った。自在に馬を操る少女の凛々しい姿に魅了された関野は、写真撮影に熱中するあまり彼女の仕事を不用意に妨げてしまう。そのとき、少女の声が飛んできた。「写真撮るなら、こっちに来ないで!」
 少女はプージェーといった。当時6歳。関野の一人娘と同い年だった。50歳の日本人とモンゴルの少女との交流がはじまった。
 プージェー一家の住むゲル(移動式テント住居)に通ううちに、関野は彼女の家が馬泥棒にあったことを知る。市場経済導入後に、馬を盗み遠くの市場で売り飛ばす輩が増えているのだ。馬を奪われることは生活の困窮を意味する。だがそんな状況でも、一家は関野を快く受け入れてくれた。プージェーーの母親が死んだことを知らされる。落馬して内臓を傷つけ、病院に行ったが、保険がないことを理由に診療を拒否され、事故から12日後に息を引き取った。32歳の若さだった。関野は、プージェーが日本語の通訳になる夢を持ったことを知る。プージェーの遊牧民らしさが好きで通っていたが、そのことが、皮肉にもプージェーが草原を離れる原因を作ってしまったのかも知れない。しかし、関野はプージェーが望めば、日本に留学してもらおうと密かに考え始めていた。
 4年後、グレートジャーニーを終えた関野は、新しい旅のスタートにプージェーのゲルを選んだ。そして……。
地球を歩くとき、こどもたちの笑顔に出会うほど嬉しいことはない。
私が惹かれたこどもたちに共通点があることを見つけた。
それは、自立心が強く、大人に媚びないということだ。 
関野吉晴
<関野吉晴プロフィール>
1949年 東京都墨田区生まれ
一橋大学在学中に探検部を創設し、1971年アマゾン全域踏査隊長として1年間の南米遠征。その後20年間に32回、南米への旅を続ける。その間、現地での医療の必要性を感じて、外科医師となる。1993年からは、アフリカで誕生した人類がユーラシア大陸を通ってアメリカ大陸にまで拡散していったおよそ5万3千キロの行程を、自らの腕力と脚力だけを頼りに遡行する旅「グレートジャーニー」を始める。
1993年12月に南米最南端のチリ・ナバリーノ島を出発し、8年3ヶ月をかけて、2002年2月10日、目的地であるタンザニア・ラエトリにゴールした。そして2004年7月に、日本人の来た道を辿る「新グレートジャーニー」をスタート。
2009年までに3つのルートを踏破する予定。
1999年 植村直己冒険賞受賞
現在 武蔵野美術大学教授(文化人類学)
<コメント>

椎名 誠(作家)
素晴らしい!の一言。
こんなに厳しく、こんなに切なく、
こんなに熱く美しいドキュメンタリをはじめて見た。

龍村 仁
 (映画監督『地球交響曲 ガイアシンフォニー』)

この、たったひとりの少女と出会うために、
関野は350万年の旅を遡行し続けて来たのだろう。
そう思えるほどこの感動は深く壮絶である。

惠谷 治(ジャーナリスト)
関野吉晴が出会った可憐な少女プージェーの
逞しくも哀しい物語が、心に突き刺さる。

渡辺 一枝(作家)
自然のいとなみの中で生きるということ。
「出会い」のもつ意味深さ。
命がしみじみといとおしい。

春風亭 昇太(落語家)
厳しい自然の中で人は「生き物」にすぎない。
しかし、その生き物の面構えは、崇高で美しい…
「一期一会」の言葉の重さも、この映画で知った。

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