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構成・演出・編集/山田和也
ナレーター/吉岡秀隆
配給:ドキュメンタリージャパンwww.documentaryjapan.com
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面白いドキュメンタリーにテレビで出会う機会は稀になった。これからはスクリーンで視る時代なのだろう。山田氏のようなテレビからのドキュメンタリー作家に期待したい。
――山崎裕/撮影監督 (是枝裕和監督「ワンダフルライフ」、五十嵐久美子監督「Der
Ausflug 遠足」、河瀬直美監督「沙羅双樹」など。)
これは福祉の問題について広く人々に考えさせてくれる映画であり、同時に、広く健常者にも生きるということの意味について深い思索をうながさずには
おかない作品である。なによりもまず、行動でその心の中にあるものを力強く示してくれたこの三人の障害者の方々に敬意を表したい。
――映画評論家 佐藤忠男氏
いつもは私たちが見て見ぬふりをしてしまう「障害者たち」。この映画の中では初めてカメラを通して語る機会を与えられた障害者3人が出演する。生涯で初めて、自分たちの日常と自立へのチャレンジをさらけ出す。「私たちはこうして生きている」と語りかけれた私は彼らに強い意志と生命力、誇りを感じた。
――探検家・関野吉晴氏
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登場する脳性マヒの身体障害者は、施設や肉親の元を離れて一人暮らしすることを「自立生活」と呼び、実現を夢見ている。
健常者には平凡な一人暮らしも、彼らには危険と浪漫に満ち溢れたドラマティックな冒険である。
6年間の長期取材をまとめた山田氏は言う。「社会の障壁を乗り越えて、彼ら〈障害者〉が自らの手で掴み取ったもの、それは、お仕着せでない自分自身の人生そのものである。」
●小池公男さん(39歳ー1997年当時)
脳性まひによる重度の身体障害をもつ。障害者施設に暮らして20年、いつかは施設を出て暮らしたいと考えている。
「脳性まひによる身体障害者の平均寿命は50歳」という俗説があり、そのことが小池さんの心に重い重圧としてのしかかっている。自立に向けて、小池さんの活動が始まる。
●日原一郎さん(37歳−1997年当時)
自立を目指す障害者への支援グループ自立ネットワークやまなし」の会長。自身、重度の脳性まひによる障害を持つ身だが、日々、自立を夢見る障害者たちの為に日々奔走している。障害者が施設や親元を離れて暮らすことを「自立生活」と呼んでいる。97年、日原さんは、小池さんの自立生活を実現させるために動き始めた。
●中込恵美さん(39歳−1997年当時)
中込さんも「自立ネットワークやまなし」のメンバー。電動車椅子の運転を
習得したことを契機に自立生活への階段を登りはじめる。
家族を説得しアパートを捜す。ゆっくりだが確実な歩み。自立を果たした時、6年の歳月が過ぎていた。
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「障害者イズム」に参加するということ。 ― 監督 山田 和也
「障害者」という言葉を使うことに対し、はじめのうちはかなりのためらいがありました。けれども、6年間にわたる取材期間で、彼らのおかれている世界
がどれだけ世間一般から隔離され、無視されているのかを知った時、あえて「障害者」と呼ぶことにしたのです。
きっかけは1995年1月、阪神大震災直後の神戸、瓦礫の山の中を車椅子に乗って精力的に走り回る障害者のグループに出会ったこと。彼らは被災した障害者仲間の安否を気づかって、神戸に来ていました。
「ひとり暮らしだから、部屋の中で車椅子から落ちたり、コンロの火で火傷をしても誰も助けに来てくれない。そのままじっとしている他ないんですよ。」
まず車椅子に乗った障害者が「ひとり暮らし」をするということに驚きました。さらに、どうしてそんな危険を冒してまでひとりで暮らす必要があるのだろうか?そんな疑問からこのドキュメンタリーは出発しました。
2年後、山梨県に住む3人の障害者に出会いました。これから自立しようとする40歳を目前にした男女でした。それからの6年間、無我夢中でカメラを回し続けました。何かに追い立てられるように、必死に社会に出ていこうとする彼らを見ていくうちに、彼らの住む世界と一般の社会の間に大きなギャップがあるのだということを何度も痛感させられました。そんな願いをこの「障害者イズム」というタイトルに込めました。 |
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