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『盗月者 トウゲツシャ』は、香港と東京を舞台に息もつかせぬ二転三転の騙し合いが繰り広げられるクライム・ムービーであり、今をときめくトップスターが躍動する“泥棒”映画である。 東京都内近郊で撮影が敢行され、香港映画ならではの迫力あるアクションシーンも満載だ。
主演は、香港の音楽オーディション番組から誕生した男性グループ、今やテレビやSNSで彼らの顔を見ない日はないとまで言われるMIRRORのメンバーから、アンソン・ロー、イーダン・ルイ、ギョン・トウの3人が出演。共演は『星くずの片隅で』のルイス・チョン、『アニタ』のマイケル・ニン、日本勢は田邊和也、笠原竜司、朝井大智らが脇を固める。監督は本作が長編三作目となる『暗色天堂』のユエン・キムワイ。音楽は香港在住の日本人、波多野裕介が手掛けた。
アンティーク時計の修理に天才的な能力を持つ時計修理工のマー(イーダン・ルイ)は、老舗時計店の二代目店主であり裏では盗難時計売買の顔を持つロイ(ギョン・トウ)に自身が修理した時計を偽造販売したことがばれ、ある高級時計の窃取を強要される。狙いは、死後50年後に日本で発見され、東京・銀座の時計店に保管された、画家ピカソ愛用の3つの時計。集められたチームは、リーダーのタイツァー(ルイス・チョン)、爆薬の専門家マリオ(マイケル・ニン)、鍵師のヤウ(アンソン・ロー)、そしてマー。彼らはオークションが開催される東京へと飛び、下調べをして銀座の時計店に侵入したが、ピカソの時計が保管された金庫の中に、偶然にも最初に月に到達した時計・ムーンウォッチを発見してしまう。予想外の展開にマーたちの運命は大きく狂い始め、日本の大富豪で裏ではやくざと繋がる加藤(田邊和也)をも巻き込み、チームに危険が迫る。敵味方が交錯する中、4人の男たちは命を賭けた大逆転のゲームを開始する!

CAST

ヤウ(李錦佑(阿佑))
アンソン・ロー
鍵師のヤウの母親・ホンはかつて先代のロイの下で同じ鍵師として働いていたが、目の病気で仕事を辞め、今は失明の危機にある。ヤウの兄・ジョーは母の代わりにロイの窃盗団メンバーに入るも、不慮の事故で死亡。今回の作戦でタイツァーがホンを誘いに来るが、オファーを断った母に内緒で、ヤウは母の手術費用を捻出するためチームに参加する。しかし作戦中、兄の死にタイツァーとマリオが深く関わっていたことを知る。
アンソン・ロー(盧瀚霆)
Anson Lo
1995年7月7日生まれ。香港出身の歌手/俳優。2018年、MIRRORのメンバーとしてデビュー。 グループではリードダンサー、サブボーカルを務め、2020年、ソロデビューを飾った。 ハイブランドのプロモーションに複数起用されるなど、ファッションアイコンとしての注目も高い。 2021年6月、主演ドラマである《大叔的愛》(香港リメイク版『おっさんずラブ』)が香港のテレビ局ViuTVで放送され、開局以来のドラマ部門最高視聴率を記録。 映画出演作に、《假冒女團》(2021)、『香港ファミリー』(2022)、《釀魂》(2023)、《12怪盜》(2023)がある。
マー(馬文舜)
イーダン・ルイ
時計修理工・マーは、アンティーク時計の修理・組み立てだけでなく、その時計の背景にある歴史や物語に魅了されている。彼の一番のお気に入りは、月面で着用された初めての時計・ムーンウォッチの43番。中古時計の偽造行為をロイに知られ、脅されて今回の作戦に参加させられる。彼の任務はピカソの時計の真贋鑑定とレプリカを作り本物とすり替えること。作戦中、彼は銀座の時計店で自ら大枚をはたき行方を追いかけていたムーンウォッチと出会ってしまう。
イーダン・ルイ(呂爵安)
Edan Lui
1997年1月21日生まれ。香港出身の歌手/俳優。2018年、MIRRORのメンバーとしてデビュー。グループではリードボーカルを務めるが、ファンたちの間では「お笑い」担当として愛されている。2021年、ソロデビューを飾った。 2021年6月、香港のテレビ局ViuTVで放送された主演ドラマ《大叔的愛》(香港リメイク版『おっさんずラブ』)では主人公の田一雄 役(春田創一 役)を務めた。 映画初主演となった《闔家辣》(2022)を皮切りに、出演作には、『香港ファミリー』(2022)、『四十四にして死屍死す』(2023)、《12怪盜》(2023)がある。
タイツァー(大賊)
ルイス・チョン
戦略策定と遂行に長けているタイツァーは、先代のロイから最も信頼されていた「頭脳」であり、今回の作戦の立案と実行の責任者である。先代の死後、その仕事と名前を受け継いだ2代目ロイは、先代からの旧メンバーを次々に排除し、今ではタイツァーとマリオだけが残っている。2代目を助けるよう先代から頼まれていたこともあって、タイツァーは先代への恩義と2代目に対する複雑な思いとの間で苦悩している。
ルイス・チョン(張繼聰)
Louis Cheung
1980年1月11日生まれ。香港出身の俳優/歌手。 代表的な出演作に、『ラン・アウェイ 香港脱出』(2017)(マイケル・ニンと共演)、『SHOCK WAVE ショック ウェイブ 爆弾処理班』(2017)、『サンダーストーム 特殊捜査班』(2018)、『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』(2020)、『風再起時』(2022)(マイケル・ニンと共演)などがある。 第41回香港電影金像奬で10部門にノミネートされた『星くずの片隅で』(2023)では、最優秀主演男優賞にノミネートされた。
マリオ(渠王)
マイケル・ニン
マリオは爆薬の専門家。爆薬で壁を壊したり、下水道管を通じた逃走を得意としている(だから通称:マリオ)。表稼業は香港映画の美術担当だが、長年、先代ロイの下で働いていた。タイツァーとは友好関係にあるが、互いの身を守るため仕事以外ではほとんど連絡をとらない。昔からの仲間が2代目によって粛清されていく現状を目の当たりにし、いつかは自分の番が来ることを予感しており、早く足を洗って自由な生活を送れるよう、常に一攫千金のチャンスを狙っている。
マイケル・ニン(白只)
Michael Ning
1979年11月5日生まれ。香港出身の俳優/ギタリスト。本名は凌智豪。 2015年に映画『九龍猟奇殺人事件』でデビューし、本作で第35回香港電影金像奨の最優秀新人賞と助演男優賞を受賞。 代表的な出演作に、『宵闇真珠』(2017)(オダギリジョー主演)、『ラン・アウェイ 香港脱出』(2017)(ルイス・チョンと共演)、『手巻き煙草』(2020)、香港の伝説的な歌手アニタ・ムイの生涯を描いた『アニタ』(2021)、『風再起時』(2022)(ルイス・チョンと共演)などがある。
ロイ(萊叔)
ギョン・トウ【特別出演】
香港のロイ時計店の2代目オーナー。2年前に父親が他界した後、その肩書きだけではなく呼び名(叔父貴)も受け継いだ。短期間で名をあげるため、父親のやり方より強引で冷酷非情なやり方で盗難品の取引を行っている。また、父親に仕えていた古参組を疎んじて一掃し、彼に忠実な新しいチームを結成したいと考えている。
ギョン・トウ(姜濤)
Keung To
1999年4月30日生まれ。香港出身の歌手/俳優。 香港のテレビ局ViuTVのオーディション番組『Good Night Show 全民造星』の決勝で、審査員採点・観客投票とも最高得点を獲得し優勝。 2018年、MIRRORのメンバーとしてデビュー。グループではリードボーカルを務め、2019年、ソロデビューを飾った。 『ママの出来事』(2022)で映画デビュー。同映画では主題歌も担当した。その他出演作に、『ニューヨーク協奏曲』(2023)、《12怪盜》(2023)がある。
加藤
田邊和也
日本の大富豪。ムーンウォッチを保有している。陰でヤクザと繋がっているなど、ミステリアスな人物。
田邊和也(たなべ・かずや)
Kazuya Tanabe
1985年生まれ。神奈川県出身。韓国映画「ビースティ・ボーイズ」(2008)で映画デビュー。その後単身カナダへ渡り、英語と芝居の勉強をしながら、短編映画にも出演。
帰国後、フジテレビ「命ある限り戦え、そして生き抜くんだ」(2014)でドラマデビュー。日本映画を中心にキャリアを重ねる。2018年以降はハリウッド映画に進出。
出演作品にはNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」、連続テレビ小説「ちむどんどん」、「仮面ライダーリバイス」、HBOmax×WOWOW「TOKYO VICE」などがある。

STAFF

監督 ユエン・キムワイ(袁劍偉)
Yuen Kim Wai
1966年7月8日生まれ。香港出身の監督・脚本家・プロデューサー。CMやミュージックビデオの監督として長いキャリアを持つ。2016年の映画監督デビュー作《暗色天堂》は、第53回金馬奨で国際映画批評家連盟賞にノミネートされた。2019年には、貴志祐介の小説『黒い家』を原作とした《死因無可疑》を監督。2024年公開の『盗月者 トウゲツシャ』は、彼の3作目の長編監督作品となる。
音楽 波多野裕介(はたの・ゆうすけ)
Yusuke Hatano
1986年アメリカ生まれ。日本、香港に移住後はピアニストとして活動する傍ら、短編映画の作曲を手掛けるようになる。2015年『全力スマッシュ』で初めて長編映画のサウンドトラックおよび主題曲を担当。2016年『ソウルメイト/七月と安生』では香港電影金像奨最優秀作曲賞を受賞し、香港映画の作曲家としては最年少での受賞となった。香港映画の音楽のみならず、アーティストへの曲提供やゲーム音楽を行うほか、自身もアーティストとしてツアーを行うなど精力的な活動を展開している。
主な映画作品:『誰がための日々』(2017)『インビジブル・スパイ』(2019)『花椒の味』(2019)『映画 真・三國無双』(2021)『赦されぬ罪』(2024)

COMMENT

香港映画伝統のゴージャスで硬派な娯楽アクション映画を作り出す技量と、香港映画の未来を担う超人気グループMIRRORのメンバーたちの尖鋭的でしなやかな魅力が、奇跡のように融合し化学反応を起こした。これぞ新時代香港エンタテインメント映画の姿を最も予言的に示した作品だ。
暉峻創三
映画評論家 大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター
『盗月者』は、MIRRORの3メンバーを型にはめず、完璧な脚本、鮮明なキャスト、明快なテンポ、無駄のないストーリー展開が良い。時計を盗み出すシーンはディテールまでこだわっていて、面白い!
ウィニー・ツァン(曾麗芬)
Winnie Tsang
香港の映画製作配給会社 ゴールデン・シーン創業者