愛の予感
The Rebirth


特報!
ロカルノ国際映画祭最高賞の金豹賞(グランプリ)受賞!!
CICA賞(国際芸術映画評論連盟賞)、ヤング審査員賞、ダニエル・シュミット賞 4冠同時受賞!!
(c)FOTOFESTIVAL / MARCO ABRAM



決してあってはならない出逢いに、心の傷はひらき、魂は揺れる―。
2007年/日本映画/カラー/35mm/ビスタ/モノラル/102分

第60回ロカルノ国際映画祭
コンペティション部門グランプリ(金豹賞)
CICAE賞(国際芸術映画評論連盟賞)
ヤング審査員賞
ダニエル・シュミット賞

予告編@youtube
 
公式サイト


<キャスト>
 小林政広   渡辺真起子
〈スタッフ〉
脚本、監督:小林政広

製作:小林直子  

撮影監督:西久保弘一 

照明:南園智男
録音:秋元大輔、横山達夫

編集:金子尚樹  

インタビュー出演:中山治美 

助監督:川瀬準也 
主題歌「愛の予感」
(詞・曲・唄:小林政広)

製作・配給:
 モンキータウンプロダクション 
配給協力:バイオタイド

(c)2007 モンキータウンプロダクション
<イントロダクション>
14歳の少女が、同級生の少女を、刺殺した。これは、その事件の加害者の母と被害者の父の、その後の物語だ。事件の記憶から、そして世間から逃れようと、東京を離れた二人は、ある地方都市で、再び出逢うことになる。望まざる邂逅。しかし、そこで芽生えた感情は、憎しみや後ろ暗さだけではなかった。魂と魂が触れあい、孤独と孤独が擦れ合うとき。摩擦が熱を生むようにして……

監督は、イラクでの邦人人質事件に想を得て撮られた問題作、『バッシング』(第58回カンヌ国際映画祭コンペティション部門公式出品作品)で、タブーに挑んだ小林政広。そんな彼が最新作に選んだテーマは、「愛」。いや、その「予感」だ。それも、眼を逸らしたくなるほど鋭利な、激情としての、「愛の予感」。

不可視のものを描くこと。たとえば、幽霊、UFO、巨大な怪物、そして、われわれの、「心」。それらをスクリーンに映し出してみせることこそ、映画の夢であるならば、決して眼には見えない「愛」を描くこともまた、極めて野心的な挑戦なのだ。

その野心的な挑戦のため、小林はある決断をした。それは、被害者の父・順一を自ら演じるということ。悔恨と絶望に苛まれながら、孤独に生きる男を存在そのものの深みにおいて表現するため、自らの身体をカメラの前に立たせることになる。そして、共演者として呼ばれたのは、『M/OTHER』(第52回カンヌ国際映画祭批評家連盟賞)、『殯の森』(第60回カンヌ国際映画祭グランプリ)に出演、国際的評価も高い女優・渡辺真起子。順一と同じ絶望に加え、決して消えない罪悪感とともに生きる、加害者の母・典子に、明確な輪郭を与えている。

また、本作はインディペンデントであるにもかかわらず、『海賊版 BOOTLEG FILM』(98)、『殺し』(00)、『歩く、人』(01)、『バッシング』(06)と、四度カンヌ国際映画祭へと作品を送り出した、小林政広の映画制作母体、モンキータウンプロダクションの10周年を記念する作品でもある。プロデューサー・小林直子と共に歩んだ、決して容易ではなかった道のりに捧げられた一篇のオマージュ。絶望の中で奇跡的に生まれつつある、ある美しい感情についての記録―。
それがこの映画、『愛の予感』である。

<ストーリー>
東京。ウォーターフロントのベッドタウン。
14歳の少女が、同級生の少女を刺殺した―。

加害者の母親・典子は戸惑いながら、マスコミの取材に応じた。
「どうして、お嬢さん、あんな事件を起こしたんだと思います?」
「判りません」
「…事件の原因は、何だとおもいますか?」
「わからないって言ってるじゃないですか。判らないんですよ。」
彼女は、親としての責任を問われ、世間の激しいバッシングに晒されていた。

一方、被害者の父親・順一は勤めていた新聞社を、辞めた。
「14歳ですよ?14歳!なのにどうして殺されなくちゃいけないんですか?」
「向こうのご両親からは、何か」
「手紙、来ましたけどね。何通も、何通も・・・会ってお詫びがしたいって・・・でも、みんな、捨てました」
彼もまた、被害者でありながらマスコミによって晒し者にされていた。

そして、事件から半年後―。
加害者の母と被害者の父。
二人は、あまりにも残酷な邂逅を果たす。

北海道・苫小牧市勇払。
そこには、東京を離れ、鉄工所の溶鉱炉で働く、順一の姿があった。
単身労務者用の宿と工場を往復するだけの生活・・・。
そして、時を同じく、典子もまた同じ土地の民宿で、住み込みで働いていた。
厨房と殺風景な部屋、たまに出かけるのは近所のコンビニエンスストア・・・。

決してあってはならない出逢いに、心の傷はひらき、魂は揺れる―。