「中国インディペンデント映画祭」

現代中国のリアルな一面を目撃せよ!



中国でいうインディペンデント映画とは、自主制作であるという意味の他に、検閲によらない自由な表現であるという意味がある。中国は劇場公開されるすべての映画に検閲があり、その政治的制約のために真実の姿が描けないことも少なくない。それに対し、インディペンデント映画は、制限を受けずに自由な手段で表現された映画あり、独自の視点でリアルな中国を描いている。
これらの作品を通して、今まで見ることができなかった中国の真実の姿を目撃していただきたい。


 予告編@youtube

 公式サイト

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インディペンデント映画にこそ、真の中国の姿がある
上映作品は、今、海外映画祭で最も注目されるポスト第六世代の旗手イン・リャンの2作品『アザー・ハーフ』『アヒルを背負った少年』、中国映画では触れられることがなかったキリスト教徒たちの姿を描いた『塵より出づる』、そして福建省の高校3年生たち追うことにより「一人っ子政策の歪み」、「貧富の格差」など現代中国の様々な問題点をあぶりだしたドキュメンタリー映画『高三』等を含む8作品。
これらの全作品が、中国政府による検閲を受けていないのである。検閲を受けないという事は、幾ら海外映画祭での評価が高くても、中国国内での上映は不可能となり、それは、作家達にとっては国内での資金確保を困難にし、結果、制作しにくくなる事に繋がる。しかし、にもかかわらず自身の力(資金)で、インディペンデントとして、自らの表現にこだわり、海外の映画祭で評価を高め、国内外で製作し続けている作家達の作品を紹介する。
彼らの製作スタイルも含め、現代中国のリアルな一面を目撃して欲しい。
中国の検閲制度
 中国では映画は共産党の宣伝の為のものと位置づけられてきた。そのため、国家広播電影電視総局という機関がすべての映画を管理している。
 映画を製作する場合、まずシナリオを当局に提出させ、内容を確認。問題がなければ撮影許可を出す。その後編集の終わったものを検閲し、上映許可が出る。
 検閲には明文化された基準はなく、許可が下りなかったとしても理由は明らかにされない。
 ただ、一般的には政府を批判するものや暴力・性表現以外にも、宗教を扱ったものや、最終的に犯罪者が逮捕されないもの、内容が暗すぎるもの、他に類似したテーマの作品があるものなどが不可とされると言われている。
上映作品

『あひるを背負った少年』


TAKING FATHER HOME/2005年/100分
監督 : 応亮(イン・リャン)

東京フィルメックス審査員特別賞
ロサンゼルス国際映画祭グランプリ
香港国際映画祭デジタル部門最優秀作品賞
シンガポール国際映画祭批評家連盟賞

17歳の少年・徐雲は、6年も行方知れずの父親を探すため農村から町へと出てくる。途中知り合ったヤクザや警察官の世話になり、なんとか父親を見つけ出すのだが・・・・・・。
今最も期待される若手監督・応亮の、衝撃のデビュー作。



『アザー・ハーフ』

THE OTHER HALF/2006年/111分
監督 : 応亮(イン・リャン)

東京フィルメックス審査員特別賞
シンガポール国際映画祭審査員賞
全州国際映画祭グランプリ
インドネシア・アジア映画祭最優秀アジア映画賞

弁護士事務所で働く小芬は、町の人々の相談事を聞いては記録に留めている。彼女自身も、だらしない恋人にいつも不安を感じていた。ある日、町で殺人事件が起こり、恋人が失踪してしまう。

応亮の実力を世界に確信させた作品。



『塵より出づる』


RAISED FROM DUST/2007年/102分
監督 : 甘小二(ガン・シャオアル)

ロッテルダム国際映画祭出品
香港国際映画祭出品
釜山国際映画祭出品

敬虔なクリスチャンの小麗は、肺を患って入院している夫の看病をしながら、9歳の娘を育てている。高い入院費は払えず、学校からも学費の督促を受け、一家は次第に追い詰められてゆく。
キリスト教の観点から人間の尊厳を問う感動作。



『山清水秀―息子』


THE ONLY SONS/2002年/102分
監督 : 甘小二(ガン・シャオアル)

バンクーバー国際映画祭で審査員特別賞
ロッテルダム国際映画祭出品
釜山国際映画祭出品

強盗事件を起こして死刑になりそうな弟を助けるために、裁判官に渡す2万元を用意しようとする阿水。彼はまもなく生まれてくるわが子を売ろうと考える。
キリスト教徒の視点からインディペンデント映画に取り組む甘小二監督のデビュー作。


『馬烏甲(マー・ウージャ)』


MA WU JIA/2006年/95分
監督 : 趙曄(ヂャオ・イエ)

中国独立影像年度展グランプリ
香港国際映画祭出品
バンクーバー国際映画祭出品
ロンドン国際映画祭出品

中学生の馬烏甲は、教師の母親と病気の幼い弟の3人暮らし。理不尽な母親の要求も、弟への輸血も当然のように受け入れてきた彼は、クラスの女の子に恋をした時から自分の境遇を疎み始める。
思春期の繊細な感情を、美しい映像で綴った瑞々しい作品。

『草芥(そうかい)』


WEED/2006年/99分
監督 : 王笠人(ワン・リーレン)

ロッテルダム国際映画祭出品
シンガポール亜裔首作映画祭出品
中国独立影像年度展最優秀新人賞

引越屋で働くさえない男・マーイーが、娼婦のフーディエに一目惚れする。二人は徐々に親密になるが、彼女の夫の出現によって淡い夢は打ち砕かれ……。
底辺で生きる者たちの鬱屈した世界観を巧みに描いた作品。


『高三』


SENIOR YEAR/2005年/95分
監督 : 周浩(ジョウ・ハオ)

香港国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞
台湾ドキュメンタリー映画祭出品
シカゴ国際ドキュメンタリー映画祭出品

ごく普通の高校で、受験勉強に取り組む3年生のあるクラスを1年かけて追ったドキュメンタリー。熱血教師の指導のもとで懸命に勉強に励む生徒たちの姿から、現代中国のさまざまな問題点が垣間見られる。


『最後の木こりたち』


TIMBER GANG/2007年/90分

2007年シネマ・デジタル・ソウル グランプリ
東京フィルメックス出品
アムステルダムドキュメンタリー映画祭出品

黒龍江省の山岳地帯で、冬山にこもって材木を伐採する男たちの姿を撮ったドキュメンタリー。馬たちが次々と倒れていく過酷な環境の中で強く生きる男たちを捉えた迫力ある映像は、観るものを圧倒する。

     
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